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介護保険改革法、成立

  連邦参議院は 4月25日(金)、連邦議会が 3月14日に可決した介護保険改革法案に同意した。13年前に導入された介護保険制度を広範囲に改正した介護保険改革法は今年 7月 1日に発効する。(20083月19日のニュースを参照)

 介護保険改革法の要旨は次の通りである。

     介護保険料率は20087月1日に(名目上所得の)1,7%から1,95%に引き上げられる。子供のいない人の保険料率は1,95%から 2,2%に引き上げられる。

     介護給付率が引き上げられる。在宅介護サービスの現物給付は、要介護度1が2008年、2010年、2012年に現在の384ユーロからそれぞれ420ユーロ、440ユーロ、450ユーロに引き上げられる。要介護度2は現在の921ユーロから980ユーロ、1040ユーロ、1100ユーロに、要介護度3は1432ユーロから1470ユーロ、1510ユーロ、1550ユーロに引き上げられる。

     在宅介護サービスの現金給付(介護手当)は、要介護度1が同様に205ユーロから215ユーロ、225ユーロ、235ユーロに、要介護度2は410ユーロから420ユーロ、430ユーロ、440ユーロに、要介護度3は665ユーロから675ユーロ、685ユーロ、700ユーロに引き上げられる。

     施設介護サービスでは、要介護度1と2の現物給付は2015年まで変わらない。要介護度3の現物給付は2008年、2010年、2012年に現在の1432ユーロから1470ユーロ、1510ユーロ、1550ユーロに引き上げられる。特別に過酷なケースは現在の1688ユーロから1750ユーロ、1825ユーロ、1918ユーロに引き上げられる。

     老齢認知症患者が初めて介護保険の対象となる(要介護度0)。「日常生活が著しく制限されている」患者に対する追加給付は年間460ユーロから最高2400ユーロに引き上げていく。給付額は認知症の度合いに応じて年間1200ユーロあるいは2400ユーロ。患者がまだ介護を必要とせず(身体的には健康なので、要介護度なし)、世話だけを必要とする場合にも支給される。施設介護の場合には、助手が付いて世話をする。この助手は介護をするのではなく、本を読んで聞かせたり、散歩に同伴する。

     被雇用者は、突然に家族を介護しなければならない事態が発生した場合には短期的に最高10日間、長期的なケースでは家族を介護するために最高 6ヶ月間、無給休暇をとる権利を取得する。この期間は介護保険が社会保険料を負担する。従業員数が15人以下の企業にはこの規定は適用されない。

     介護する身内の者が休暇、病気ないし他の理由で介護できない場合には、それまでに最低 6ヶ月間要介護者を在宅介護していた限りにおいて、介護金庫は年間最高 4週間の代替介護費用を負担する。

     既存の組織を考慮した上で、介護支援所が設置され、相談窓口になる。但し、介護支援所の設置は州が決定する。

     要介護者数人が住居共同体ないし介護付き住居で共同生活する場合には、それぞれの給付サービスをまとめて、共同で要求することができる。

     予防とリハビリを強化する。介護施設は、要介護者の要介護度を下げた場合には、一回限り1536ユーロを支給される。

     2011年から疾病金庫の組織「医療サービス」が毎年1回、予告なしにすべての介護施設を検査し、全国統一した品質基準で評価する。その検査結果はインターネット上、介護支援所、介護施設で公表され、外部者にも施設の介護品質が分かるようにする。

2008年4月30日)

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