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ベルテルスマン社、独語版ウィキペディア事典を出版

 

 メディア大手ベルテルスマン社の子会社ベルテルスマン百科事典研究所は、今年 9月にドイツ語版ウィキペディア百科事典を出版すると発表した。ベルテルスマン社はウィキペディア・ファウンデーションと協力して、ドイツ語版ウィキペディアの74万項目から2007年と2008年に最も検索頻度の高かった5万語を選択して収録する。売れ行きが順調であれば、毎年更新していく計画である。

 ウィキペディアはネット利用者がフリーライセンスで自由に執筆・編集できるため、著作権の問題はない。価格は19,95ユーロで、ドイツウィキペディア事務局に 1冊当たり 1ユーロが支払われる。但し、執筆したネット利用者への報酬はない。ベルテルスマン社は最低 2万部の販売を予定している。

 従来の百科事典とは異なるネット百科事典ウィキペディアの特性(強い時事性)からして、これは「百科事典年鑑」であるという。ベルテルスマン社は人気の高いネット百科事典のプリント版を出版することにより、新しいターゲットグループを開拓したい考えである。センセーショナルではないが、ユニークな試みと評価されている。

 ネット百科事典ウィキペディアの普及を背景に、ブロックハウス社は伝統のブロックハウス百科事典の出版を中止して、ネット百科事典だけを提供する計画を発表したばかりであった(20083月19日のニュースを参照)。しかし、発表後、ブロックハウス百科事典の売り上げが急増したため、ブロックハウス社は廃止計画の見直しを検討している。

 これまでにもウィキペディアを出版する試みは何度かあったが、実現していなかった。ベルテルスマン社はウィキペディアを全部出版するのではなく、1冊の年鑑として出版を試みる。

2008年4月30日)

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