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連邦議会、環境関連法案を可決

  連邦議会は6月6日(金)、再生可能エネルギー促進を目的とする4つの環境関連法案を可決した。2020年までに二酸化炭素排出量を40%削減することを目標として、エコ電力の割合の増加、再生可能熱エネルギー利用の義務付けなどを規定している。消費者はエコ電力コスト負担とマイホームにおける追加投資を余儀なくされる。

  再生可能エネルギー法は風力・水力・太陽・バイオマスによる発電を促進するために、エコ電力を優遇価格で買い取ることを電力会社に義務付けている。今回の改正案では、風力発電とバイオマス発電を促進するために、その電力の買い取り価格を引き上げる。その代り、太陽光発電の買い取り価格は引き下げていく。

  エコ電力優遇価格と市場価格との差額(負担)はすべての消費者に割り当てられる。2007年は約43億ユーロだったが、2015年には71億ユーロに上昇し、その後は、エコ電力が市場価格で生産できるようになるので、低下する見通しである。

  2020年までにエコ電力の割合を現在の14%から最低30%に引き上げる。このエコ電力促進は平均世帯にとって2015年は全部で月額約5ユーロの負担になる。現在は約3ユーロ。

  次に、再生可能エネルギー熱法案によると、暖房エネルギーに占める太陽熱、バイオマス、地熱の割合を現在の7%弱から2020年には14%に引き上げる。新築家屋にはエコ熱利用義務が課せられる。また、家屋の断熱が強化されなければならない。屋根に太陽熱利用設備を取り付ける家は、そのコストの10%の補助金が支給される。

  また、発電・熱利用連結設備法案によると、発電と熱利用(地域暖房)を組み合わせた効率的な発電所の助成が強化され、熱網が拡張される。一般世帯の地域暖房だけでなく、産業界の電力・熱利用も促進する。電力の4分の1をこのタイプの発電所で生産することを目標とする。

  4つ目の電気メーター検針サービス自由化に関する法案によると、2010年からは「インテリジェント・メーター」が提供されなければならない。このメーターは消費者に多くの情報を提供する。例えば、何時に最も電気を消費しているか、どの機器が最も電気を消費しているかなどの情報を得ることにより、消費者は電気消費を最適化することができるようになる。

  与党は、環境関連法案を「エネルギー確保と環境保護の里程標」と評価している。エネルギー価格が急騰する現状を鑑み、再生可能エネルギーに大きな期待をかけている。再生可能エネルギー業界によると、同業界の従業員数は2020年までに50万人に倍増する見通しである。

  それに対して、緑の党は、この法案では環境保護目標を達成できないと政府を批判した。自由民主党は消費者の負担増を批判している。補助金や義務付けではなく、市場経済の手段で再生可能エネルギーの浸透を図るべきだとしている。

2008年6月10日)

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