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ドイツの学校制度、ハウプトシューレに問題あり

  連邦と州の文相が発表した教育報告書によると、 2006年は7万6000人の若者が卒業資格なしに退学した。これは学年全体の約8%に相当する。特にハウプトシューレ(基幹学校)卒業生と中途退学者の「学校から職場への移行」が難しい現状が明らかになった。

   シャヴァン連邦教育・研究相は、「学校から次のステップである職業訓練/大学への移行を改善しなければならない」と語った。州の文相も学校制度改善の必要性を指摘している。

   2年ごとに発表される教育報告書の要旨は次の通りである。

  • ハウプトシューレ卒業資格の価値が低下しており、職業への移行が難しい。卒業後半年で職業訓練の職場を見つけた卒業生は43%にすぎない。約40%は2年半後も職業訓練を始められない。それに対して、レアールシューレ(実科学校)卒業生の50%は卒業後3か月で職業訓練の職場を見つけている。

  • 移民の子供が不利な立場にある。卒業資格なしで退学する生徒がドイツ人の子供の2倍で、ギムナジウム(高等学校)に進学する子供が少ない。職業訓練の職場を見つけるのもドイツ人の子供より難しい。生徒の50%以上が移民の子供である地域では問題が深刻化している。

  • 小学校から大学まで、女子の方が男子よりも優秀である。全体的に、小学校入学が早く、成績も良い。落第が稀で、卒業資格を取得しており、学校から職場への移行もスムーズである。大学入学率も卒業率も男子より高い。大学入学資格取得率は女子が36%、男子が28%。但し、博士課程では、女性の割合が50%を大幅に下回っている。

  •  大卒者の5人に4人は就職している。15%は博士課程に進み、5%だけが失業。

  • ギムナジウムに進学する生徒が増えている。しかし、社会的に弱い層の子供は平均以上にハウプトシューレに通っている。

  • 早い時期に幼稚園に通う子供が増えている。幼稚園に通う 3歳児の割合は2004年~2007年に10ポイント上昇して旧東独で90%、旧西独で80%弱になった。

  • 大学入学資格取得者が増えているが、大学生数は依然として少ない。2007年の大学入学率は37%弱で、2003年(39%)を下回った。政府は40%を目指している。

  • 幼稚園と学校の教員が不足している。保育所だけでも 8万人の保育士を必要としている。学校の教員の半分は50歳以上で、若い教員が不足している。

  • 教育への支出が伸び悩んでいる。1990年代中頃は国内総生産の6,9%だったが、2006年は6,2%だった。

2008年7月15日)

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