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連邦通常裁判所、一人親の扶養請求権を強化する判決

   連邦通常裁判所は717日(木)、一人親の扶養請求権を強化する判決を下し、訴訟手続きをデュッセルドルフ高等裁判所に差し戻した。

   二人の子供(7歳と10歳)を養育する未婚のシングル・マザーが別れたパートナーから月額1300ユーロの養育費を請求したが、この男性は扶養法改正を理由に拒否していた。

   2008年1月1日に発効した扶養法改正では、子供を養育する者の扶養請求期間は既婚/未婚の如何に問わず、3年間である(子供が生まれてから3年間)。個別ケースでは延長が認められる。しかし、どのようなケースで延長が可能かは規定されていない20071116日と1210日のニュースを参照)

   連邦通常裁判所の判決によると、子供が幼稚園ないし学校で一日保育ないし学童保育を受けていても、養育している片親にフルタイム勤務を強制することはできない。特に夜の子供の世話に加えてフルタイム勤務を義務付けることは義務の範囲を超える二重負担であるとして、「制限された就業義務」を求めた。

   また、未婚の同居において役割分担(母親が家で子供を養育)があった場合には、扶養請求期間が3年間を超えることが可能であるとしている。

   但し、未婚の人がパートナーの所得により以前より高い生活水準にあった場合には、事情によっては扶養請求の削減を余儀なくされる。扶養額は当事者の「実生活での立場」(子供の年齢、婚姻期間、パートナーとの関係の期間、所得など)に基づいて決定される。しかし、既婚者の場合とは異なり、未婚者の場合は別れたパートナーの所得ではなく、パートナーとの関係が始まる前の自らの所得が基準となる。

   連邦通常裁判所は新しい扶養法における扶養請求期間3年の原則を変えていないが、一人親の就業と子供の世話の二重負担を配慮した扶養請求期間の延長の可能性を明確化した。

2008年7月29日)

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