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ドイツの家庭、伝統的な役割分担が顕著

  連邦統計局が発表した「家族の国、ドイツ」報告書によると、ドイツでは伝統的な家族像、男女の役割分担が依然として顕著であることが明らかになった。

   男性が結婚する年齢は平均で32,6歳で、婚期が遅れる傾向にある。1991年は28,5歳だった。女性も1991年の26歳から29,6歳に上昇した。

   子供が育つ家族形態(2007年度)を見ると、親が結婚している家庭が73,8%(1996年は81,4%)、親が未婚の家庭が7,9%(4,8%)、一人親の家庭が18,3%(13,8%)だった。移民の家庭では婚姻が重要であるが、旧東独では婚姻の意味が失われている。旧東独では、親が結婚している子供は57%に過ぎない。

   15歳以下の子供のいる家庭(590万世帯)の51%では、父親と母親の両方が就業している。但し、この家庭の4分の3では父親がフルタイム勤務、母親がパートタイム勤務だった。両方ともフルタイム勤務の家庭は22%、母親がフルタイム勤務、父親がパートタイム勤務の家庭は2%、両方ともパートタイム勤務の家庭は3%。

   15歳以下の子供のいる家庭の35%は父親だけが就業しており、9%は父親も母親も就業していない。母親だけが就業しているのは5%。3歳未満の子供のいる母親では、就業している人は約30%。

   2007年3月現在、32万人の3歳未満児が保育所に通っていた。これは全体の16%に相当する。旧東独では保育所に通っている3歳未満児が全体の41%、旧西独では10%。連邦政府は3歳未満児の保育所利用率を2013年までに最低35%にすることを目指しているが、旧東独の州はザクセンを除き、すでにこの目標値を達成している。

   3歳~5歳の子供では、89%が保育施設に通っている。旧東独が94%、旧西独が88%。

   一方、2007年1月1日に導入された父母手当では、2007年1月~2008年3月の14ヶ月間に全部で719621件の申請が認可された。父親の割合は12,1%(8万7379件)。

   父母手当申請では、父親の受給額が母親よりも高く、受給期間が短いことが顕著だった。父親の3人に1人が月額10001800ユーロの父母手当を受給したのに対して、母親では10人に1人に過ぎなかった。母親の3分の1の受給額は最低額の300ユーロ。

   父母手当を申請した父親の4分の3以上は子供が生まれる前に就業していた。子供が生まれる前に就業していた母親は約半分。

   専門家は、「男性を採用すれば、育児休業のリスクがない」という企業のこれまでの戦略が将来は変更を余儀なくされると予想している。このリスクの変更は女性の昇進チャンスを改善すると同時に、男女間の賃金格差の縮小にもつながると期待される。但し、企業のリスク状況が悪化して、経済発展にネガティブに影響することも有り得るという。

   ドイツ管理職者連盟のアンケート調査結果によると、管理職者の90%は育児休業することを望んでいるが、「会社で簡単に育児休業を取得できる」と回答した人は6%に過ぎなかった。「多少の改善が見られる」と回答した人は34%で、60%は「改善が見られない、あるいは状況が悪化した」と回答している。

   育児休業を躊躇する理由としては、73%の人が「適切な代理がいない」ことを、59%が昇進上の不利を挙げた。その他、使用者のアクセプタンスの欠如、所得減少などが挙げられた。

2008年7月29日)

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