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東西格差は依然として大きい

   

    連邦内閣が924日(水)に承認した「ドイツ統一の現状に関する年次報告書」では、東西格差が依然として大きいことが明らかになった。旧東独の失業率は旧西独の2倍で、旧東独の経済成長率は旧西独より低い。

   連邦政府は、旧東独復興の道程の3分の2を達成したが、旧西独の水準に達するまでには少なくともあと10年はかかるという見解である。

   旧東独復興担当のティーフェンゼー交通大臣は、「旧東独の成長はまだ安定していない」と語った。旧東独には依然として構造上の問題があるため、連帯プログラムII1560億ユーロ)が終了する2019年まで旧東独は「特別な状況」にあるとして、同プログラムの全資金を旧東独に充てるべきだという考えを示した。旧東独の長期失業者問題が大きな懸案で、2019年までに東西統一した年金制度を構築できるかどうかは定かではないという。

   現在、旧東独の生産性は旧西独の約70%である。中小企業の研究開発も大きく遅れている。2000年以来、旧東独経済(ベルリンを含む)は全部で6%成長した。旧西独の経済成長はこれを約3ポイント上回っている。但し、ベルリンを除く5州では経済成長率が9%以上だった。ベルリンでは5人に1人が国の公的援助を受けている。

   旧東独で特に大きく成長しているのは工業で、加工業の2007年度成長率は9,9%と、旧西独を4ポイント上回った。旧東独工業の純付加価値生産は2000年以降全部で44%成長した。旧東独の純付加価値生産全体に占める割合は19,3%である。旧西独では純付加価値生産に占める工業の割合は24,4%。

   旧東独では、自動車工業のほか、マイクロエレクトロニクス、データ処理も順調に発展している。それに対して、ソフトウエア会社やエンジニア事務所、弁護士事務所などが不足しているという。

   2006年以来、旧東独の失業率は5ポイント低下したが、現在の失業率は12,4%と、旧西独の2倍である。ポツダムでは7,8%、イェーナでは8,3%と低いが、ゲルリッツでは20%以上と大きな差が見られる。2007年は初めて長期失業率も低下したが、失業者に占める長期失業者(1年以上失業)の割合は41,3%と、依然として高い。

   旧東独では多くの人が未だに「二流のドイツ人」と感じている。経済が成長しているにもかかわらず、高い失業率、若者の流出、旧西独より低い賃金と年金が人々の不満をもたらしている。そこで、ティーフェンゼー旧東独復興担当大臣は東西統一した賃金と年金制度の構築を求めている。

2008年9月26日)

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