ドイツのニュース

生産拠点を再びドイツ国内に戻す企業が増えている

   

    一部の生産を中国に移転していたぬいぐるみの老舗シュタイフは昨年8月、2010年までに生産拠点をドイツ国内に戻すと発表した。生産拠点をドイツに戻すのはシュタイフ社だけではない。フラウンホーファー・システム及び技術革新リサーチ研究所の調査結果によると、毎年約500社が生産拠点を再びドイツに戻している。総数にはほとんど変動が見られないが、工業国からの撤退はまれで、低賃金国からの撤退が顕著に増える傾向にある。

   中国からの生産移転がよく話題になるが、実際には全体の2%に過ぎず、多いのはEU新規加盟国(チェコ、ポーランド、ハンガリーなど)からの撤退である。この地域からの撤退は全体の40%を占めている。

   中国に生産移転するドイツ企業は中国を販売市場として見ており、機械工業や電気・電子工業の大企業が多い。それに対して、東欧諸国への生産移転では、企業の主目的はコスト削減で、自動車工業、プラスチック工業、電気・電子工業の企業が多い。

   しかし、外国への生産移転傾向はストップした。加工業では、2004年~2006年に外国に生産の一部を移転した企業は7分の1に過ぎなかった。2分の1の企業はEU新規加盟国へ、4分の1は中国へ生産を移転した。

   1990年代に外国への生産移転がブームになったが、大半のケースでは採算が合わないことが明らかになった。移転によりコスト削減できた企業は少ない。多くの間接的な隠れたコストが移転計画で考慮されていないことが多いという。

   また、多くの東欧諸国では賃金が大きく上昇している。現在の経済危機に直面し、生産移転はもはや優先テーマではなくなった。フラウンホーファー研究所の専門家によると、販売減少を生産拠点の集中化で対応しようとする企業は母国で生産拠点の集中化を図った方が良いという。

2009年1月15日)

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