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欧州人権裁判所、未婚の父親の保護権を強化

   

    欧州人権裁判所は12月3日(木)、ドイツにおける未婚の父親の保護権(養育権)を強化する判決を下した。

   ドイツの現行法では、非嫡出子の親は、共同宣言、結婚もしくは母親の同意に基づく裁判所による譲渡がある場合にのみ子供に対する共同保護権を取得できる。未婚の親が別れた後は裁判所による審査なしに自動的に母親が保護権を取得する。連邦憲法裁判所はこの規定を基本的には承認していた。

   それに対して、欧州人権裁判所は、ドイツ法における未婚の母の優遇は欧州人権条約に定められている、家族生活を尊重する権利との関連における差別禁止に反すると同時に、未婚の父親が結婚している父親ないし共同保護権宣言をしている父親に比べて差別されていると判断して、ドイツの規定が欧州法に違反するとする判決を下した。

   これは、「母親の意思に反する共同保護権は原則として子供の幸せに反する」とする連邦憲法裁判所の判断と異なる。欧州人権裁判所は、裁判所における母親の単独保護権の審査を除外して非嫡出子の利益の保護を守るのは適切でないとした。原則的に未婚の父親から共同保護権のチャンスを拒絶するのではなく、個別ケースで裁判所が審査できるようにしなければならないという。

   45歳の男性は非嫡出の娘に対する保護権を求めていたが、母親が共同保護権を拒否したため、保護権を取得できなかった。そこで、2004年に欧州人権裁判所に訴えていた。

   この欧州人権裁判所の判決を受けて、ロイトホイザー・シュナレンベルガー連邦法務相は、この立法議会任期中に法案を提出することを明らかにした。未婚の父親が母親の同意がなくても非嫡出子に対する保護権を取得できるようにしなければならないと語った。但し、自動的な共同保護権の要求は拒否した。

2009年12月18日)

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