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人工授精費用負担の年齢制限は合憲

   

    連邦社会裁判所は3月3日(火)、法定疾病保険金庫は40歳以上の女性の人工授精費用を負担する必要がないとする判決を下した。立法者が人工授精費用負担の年齢制限を法制化することは認められ、被保険者が年齢制限で不平等な扱いを受けることは合法であるとしている。

   44歳の女性が40歳と42歳の時に行った2回の人工授精の費用12650ユーロを法定疾病保険金庫に請求したが、疾病金庫は年齢制限を理由にこれを拒否した。この女性は、法律で規定された年齢制限は違憲であるとして、連邦社会裁判所に訴えていた。

   連邦社会裁判所は、立法者は40歳以上の女性では成功確率が著しく低下するという統計値を考慮することができるとしている。2006年は顕微授精(ICSI)後の妊娠確率が40歳以上の女性では約18%、34歳の女性ではその約2倍だった。

   連邦社会裁判所は2007年の判決で、男性の年齢制限を50歳に設定することを合憲としている。また、連邦憲法裁判所は2007年に、「人工授精は医療給付の中核サービスには属さない」として、既婚の夫婦だけに人工授精補助金を給付することを認める判決を下している。

   一方、連邦通常裁判所は民間疾病保険の場合には異なる判決を下している。統計上成功確率の高い年齢を超えている場合でも、民間疾病保険の被保険者が例外的に成功確率が高いことを証明できれば、人工授精費用の負担を請求することができるとした。但し、その場合、専門家の鑑定が必要になるケースが多い。また、判決では、民間疾病保険は成功確率が15%以下の場合には費用を負担する必要がないとしている。

   この例外は法定疾病保険の被保険者には適用されない。連邦社会裁判所は、立法者は法定疾病保険と民間疾病保険の二つから成る疾病保険制度を制定したのだから、その結果としての不平等な扱いは受け入れなければならないという見解である。

   法定疾病保険金庫は、40歳未満の女性の場合、人工授精費用の半分を負担している。治療方法に応じて、費用は30005000ユーロ。全部で3回までの費用を負担する。この規定は既婚の夫婦だけに適用される。また、医師が人工授精の必要性を鑑定しなければならない。法定疾病保険金庫の2007年の負担額は全部で1750万ユーロだった。

2009年3月19日)

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