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年金受給の年齢に達する知的障害者が急増する

   

    ベルリン人口動向研究所の「障害者の高齢化」調査結果によると、ドイツでは年金受給の年齢に達する知的障害者が今後急増する見通しである。

   知的障害者は第二次世界大戦中にナチスによる迫害を受けたため、現在62歳以上の知的障害者はほとんどいない。しかも、これまでは知的障害者の寿命は平均寿命よりも著しく低かった。

   しかし、医学の進歩により、状況が大きく変わってきた。社会全体の高齢化に伴い、知的障害者の高齢化も進んでいる。施設の知的障害者の平均年齢は現在44歳である。3人に1人には世話ができる親がいない。また、子供のいる人は2%に満たない。

   ベルリン人口動向研究所の専門家は、ドイツの社会福祉・介護制度が障害者の高齢化という大きな課題に直面していることを指摘している。

   すでに現在、障害者施設では4050歳の年齢層が最も大きな割合を占めており、約15年後には年金受給の年齢に達する。その場合、これまでとは異なる世話、介護が必要になる。しかし、知的障害者は通常の介護施設には適していない。介護の方法が異なるほか、入所年齢も介護施設の平均年齢より1520歳若いという。

   一方、高齢の障害者を従来通りに障害者施設で世話することは経済的に難しい。その場合、介護保険金庫はコストの10分の1しか払わない(月額最高で265ユーロ)。

   そこで、専門家は、障害者扶助を管轄とする社会扶助機関と介護保険が早急に対応策で合意するよう求めている。一生障害を持つ高齢者に対する管轄をいかに分担するかを明確にしなければならないという。

2009年3月19日)

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