ドイツのニュース

連邦農相、遺伝子組み換えトウモロコシの認可を取り消す

   

    アイグナー連邦農相(キリスト教社会同盟 CSU)は4月14日(火)、新しい調査結果が環境へのリスク、特に昆虫へのリスクを示唆していることから、米企業Monsantoの遺伝子組み換えトウモロコシ「Mon 810」の認可を取り消すと発表した。ドイツで唯一認可されていた遺伝子組み換えトウモロコシの栽培が即時禁止される。Monsanto社は訴訟する意向である。(2008年3月19日のニュースを参照)

  欧州連合ではすでに 5加盟国が遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を禁止しており、アイグナー連邦農相も欧州法で認められている保護約款に基づいて禁止を決定した。

  アイグナー農相は、「これは政治的決定ではなく、専門的決定である」ことを強調した。「緑の遺伝子工学に対する原則決定ではなく、個別決定である」としている。

  Mon 810 は欧州連合で商業用栽培を認可されている唯一の遺伝子組み換え植物である。しかし、ルクセンブルクは新しい科学的調査結果に基づいて今年3月末にMon 810の認可を取り消した。調査結果では、遺伝子組み換えトウモロコシがテントウムシ、チョウ、ミジンコの減少をもたらすとともに、遺伝子組み換えトウモロコシの花粉の拡散範囲が予想以上に広いことが指摘された。

  フランス、ハンガリー、オーストリア、ギリシャも欧州連合で11年前に認可されたMon 810の商業用栽培を禁止している。それに対して、欧州委員会は禁止のための十分な証拠書類が提示されていないとして、禁止を取り消すよう求めている。ドイツのMon 810禁止についても調査、分析して、今後の対応を決定すると表明した。

  ドイツでは2006年から栽培されているが、トウモロコシ栽培面積全体の0,2%(4000ha)に過ぎない。アイグナー連邦農相によると、遺伝子組み換えトウモロコシとテントウムシ減少の関係はまだ証明されていないが、新たなリスクに関する一連の指摘がなされているという。

  ドイツ農民組合連合(DBV)は、緑の遺伝子工学による植物の栽培は消費者が望んでおらず、責任規定も不明瞭であるので、遺伝子組み換え植物の栽培を禁止するよう勧告している。環境保護団体も連邦農相の決定を歓迎している。

  シャヴァン連邦研究相(キリスト教民主同盟 CDU)は、「緑の遺伝子工学は未来の重要なテクノロジーであり、ドイツも欧州も緑の遺伝子工学から撤退することはできない」と語った。遺伝子組み換え植物の研究に「明確な信号」を送るために、科学者と政治家による会合を催すことを明らかにした。

  キリスト教社会同盟(CSU)、社会民主党(SPD)、緑の党、左派新党はMon8 10禁止を歓迎しているが、自由民主党(FDP)とキリスト教民主同盟(CDU)は批判している。

2009年4月21日)

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