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連邦議会、市民負担軽減法案を可決

   

    連邦議会は619日(金)、市民負担軽減法案を可決した。同法案には企業税改革の期限付き改正も含まれる。負担軽減規模は全部で約130億ユーロ。同法案は連邦参議院の同意を必要とする。

   市民負担軽減法は、連邦憲法裁判所の判決(疾病・介護保険は生存のための予防措置なので、非課税でなければならない)に基づく税制改正である。

   同法案によると、2010年1月1日から疾病保険料と介護保険料は完全控除できる。但し、基本保険料のみが対象となる(個室や主任医師指名などの追加給付は対象外)。

   保険控除限度額は、保険料を全額負担している納税者(自営業者など)で年間2800ユーロ、その他の納税者で年間1900ユーロにそれぞれ400ユーロずつ引き上げられる。但し、疾病・介護保険料はこの限度額を超えても完全控除できる(その場合、控除額は実際の保険料額となる)。これまでは、限度額までの範囲で疾病・介護保険料を控除することができた。

   疾病・介護保険料がこの限度額に満たない場合には、職業不能保険料、責任保険料、労災保険料など他の予防保険費用も控除できる。特に低所得者がその恩恵を受ける。市民の負担は全部で年間100億ユーロ軽減される見通しである。

   また、年間売上50万ユーロ以下の中小企業は2011年末まで、その売上税を前払いする必要がなくなり、顧客が勘定を払ってから税務署に納税すればよい。この措置により、不景気時における企業の支払能力が強化される。

   連邦議会は農業用ディーゼル税を引き下げるエネルギー税法改正案も可決した。経済危機における農家の負担を軽減することを目的としている。

   さらに、賃金が低下しても年金を引き下げないとする「年金の永久保証」を規定する法案も可決した。

   連邦政府の2010年度予算案では約860億ユーロの新規債務が見込まれているが、最終的には1000億ユーロを超えるものと予想されている。政府は金融危機前は2010年度新規債務を60億ユーロと見積もっていた。

2009年6月23日)

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