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連邦議会、リビング・ウィル規定を可決

   

    連邦議会は618日(木)、リビング・ウィル規定を明記するドイツ民法典改正案を可決した。賛成317票、反対233票、棄権 5票だった。この改正は連邦参議院の同意を必要としない。ドイツ民法典改正(主に第1901条a及びb)は2009年9月1日に発効する。

   リビング・ウィル規定によると、成人は、後に自分の意思を表示できない状態に陥った場合に、医師の治療を望むか、どのような治療を望むかを文書にて宣言することができる(リビング・ウィル宣言)。

   事前に本人の意思を文書で宣言した限りにおいて、リビング・ウィル(Patientenverfügung)は制限なしに拘束力がある。病気の種類や病期に依存しない。

   世話人及び任意代理人は、被世話人が決定無能力になった場合に、そのリビング・ウィルに拘束される。その際、リビング・ウィルにおける決定が具体的な生命状況と治療状況に相応するか否かを検討しなければならない。

   何人もリビング・ウィル宣言を強制されるものではなく、リビング・ウィルはいつでも取り消すことも変更することもできる。

   文書による宣言がない場合、あるいは本人のリビング・ウィルにおける決定が具体的な生命状況と治療状況に相応しない場合には、医師と世話人ないし任意代理人が推測される本人の意思を考慮して決めなければならない。医師と世話人ないし任意代理人が合意できない場合には、後見裁判所が決定する。

   連邦議会で 6年間続いていた論争がようやく決着した。2003年に連邦通常裁判所はリビング・ウィルを「拘束力あり」と認めたが、これまではリビング・ウィルは法律で規定されていなかった。

   今回のリビング・ウィル規定の提案者であるシュツンカー議員(社会民主党)は、「人の自由は基本法に準じて不可侵であり、何人も自分の病気を自然の経過に委ねる権利を有する」と語った。

   ツィプリス連邦法務相は、「リビング・ウィルの有効性と範囲を法的に規定するリビング・ウィル規定により、リビング・ウィルの法的安全性と明確性が確立された」と評価した。

   リビング・ウィルについては連邦法務省のホームページ(www.bmj.bund.de)が情報を提供している。また、教会や医療倫理のポータル(www.medizinethik.de)、ドイツホスピス財団(www.hospize.de)でも情報を入手できる。ドイツでは積極的安楽死は禁止されており、ドイツ民法典改正においても禁止されている。

2009年6月23日)

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