ドイツのニュース
連邦憲法裁判所、疾病保険改革は合憲
連邦憲法裁判所は6月10日(水)、2009年1月1日に発効した民間疾病保険改革を合憲とする判決を下した。(2007年2月14日のニュースを参照) 民間疾病保険改革によると、民間疾病保険会社は法定疾病保険に類似した給付サービスを包括する基本タリフをすべての顧客に提供しなければならない。保険料は法定疾病保険の最も高い保険料を上回ってはならず、同じサービスを提供しなければならない。 また、民間疾病保険の被保険者における老齢引当金のポータビリティが一部可能になり、法定疾病保険の被保険者が民間疾病保険会社に移る条件が厳しくなった。 連邦憲法裁判所は、「立法者は、疾病リスク検査なしに高齢者も病人も受け入れることを民間疾病保険会社に強制することができるとともに、民間疾病保険会社の被保険者が他の疾病保険会社に移る場合に、その老齢引当金の一部を持たせること(ポータビリティ)を民間疾病保険会社に要求することができる」としている。 民間疾病保険会社29社は、疾病リスクに関係なくすべての顧客に基本タリフを提供しなければならないとする疾病保険改革に対する憲法異議を申し立てていた。疾病保険改革は民間疾病保険会社のビジネスモデルを破壊するものだと訴えていたが、連邦憲法裁判所は「疾病保険改革は民間疾病保険会社の存続を脅かしていない」と判断して、訴願を却下した。 職業の自由への介入は、法定もしくは民間の疾病保険における支払い可能な疾病保険保護を市民に保証するという目的により正当化される。それにより立法者は社会国家の原則を守る。改革は「連帯要素」を民間疾病保険制度に導入するものであり、現行のデュアル疾病保険制度(法定と民間の二本立て)を疑問視するのではなく、かえって強化すると判断した。 民間疾病保険会社は、「この判決はデュアル疾病保険制度の存続を保証するものであり、「市民保険」に対する明確な拒絶だ」と評価している。
それに対して、シュミット連邦保健相は、「この判決は社会国家原則の表明であり、市民保険を拒絶する決定ではない」ことを強調した。 (2009年6月23日) |