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ドイツ人移住者の増加はドイツにとって大損失

   

    ドイツから外国へ移住するドイツ人専門者が増えているが、同化・移民専門委員会(SVR)と Ifo研究所の調査結果によると、この専門者の移住はドイツにとって毎年数十億ユーロの損失になっている。

   2003年以降、18万人以上のドイツ人(帰国者を除く)が様々な先進工業国へ移住した。2008年だけでも3000人以上の医師が外国へ移住している。

   通常、外国へ移住するドイツ人は資格を有し、高学歴、フレキシブルでリスクを恐れず、有能である。同化・移民専門委員会は、外国への移住の理由を把握するとともに、外国からの有能な移住者の勧誘に積極的に努めるよう呼びかけている。

   調査結果によると、長期的に外国へ移住する30歳の医師の場合、ドイツは税金と社会保険で約100万ユーロの損失となる(教育コストは考慮していない)。金属産業の専門労働者の場合は約28万ユーロの損失。

   2008年に外国へ移住した医師の 3分の 1だけが外国に滞在すると仮定すると、それだけでも11億ユーロの損失になるという。現在、約1万9000人のドイツ人医師が外国で就業している。

   外国へ移住したドイツ人の多くはドイツに戻ってこない。連邦政府は大半のドイツ人移住者は再びドイツに帰ってくるという前提に立っているが、ドイツ人移住者とドイツに再び帰ってきた人の差は広がる傾向にある。2007年は約 5万5000人だった。

   外国への移住の理由としては、所得増加、平らなヒエラルヒー、自営業者に対する少ない負担などが挙げられる。ドイツにおけるこれらの条件が改善されれば、再びドイツに戻りたいと考えている人が多い。

   同化・移民専門委員会は、資格のある有能な移住者を勧誘することにより、外国へ移住するドイツ人の穴埋めをするよう勧告している。また、ドイツの大学を卒業した外国人がドイツで就職できるようにする法改正を求めている。

   経済危機や失業率上昇にもかかわらず、移住者法改正が必要であり、法改正なしには専門者不足が経済危機を一層深刻化させると懸念している。これまでの移住者規制緩和では不十分だという。

2009年6月23日)

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