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欧州裁判所、解雇告知期間規定はEU法に違反する

   

    欧州裁判所は119日(火)、「(解雇告知期間における)勤続年数の算定では、被雇用者が25歳になる前の勤続年数は考慮されない」とするドイツ民法典第 622条 2項はEU法に違反するとする判決を下した。

   この判決により、今後は解雇告知期間の算定において25歳になる前の勤続年数も考慮されなければならない。これまでは、被雇用者が25歳になるまでの勤続年数が考慮されなかったため、若い被雇用者には短い解雇告知期間が適用されていた。EU差別防止指令から導き出される法原則を理由として、この規定は年齢による差別の禁止に違反すると欧州裁判所は判断した。

   欧州裁判所は、年齢による差別の禁止は「EU法の一般原則」であると解釈している。その結果、ドイツの裁判所はその「完全な効力」を保障しなければならない。従って、その場合には国内法は適用されない。

   欧州裁判所はドイツの裁判所に対して、疑わしい規定を「必要の場合には適用しない」よう直接指図した。この指図により、ドイツの立法者が法律改正をしなくても民法典の規定が直接破棄される。

   ドイツの法律によれば、連邦憲法裁判所だけが法律を棄却することができる。今後、欧州裁判所の解釈の拡大が大きな論争を呼び起こすことは確実である。

   年齢に基づく解雇保護がEU法に合致しているか否かを巡る問題は国内でも法律専門家の間で論議されてきた。1926年に遡る民法典の同規定が差別防止規定との関連で問題があることが指摘されていた。

   今回の裁判では、解雇された28歳の女性が10年間雇用関係にあったにもかかわらず、使用者側が女性が25歳になってからの 3年間だけを考慮して 1ヶ月だけの解雇告知期間を適用したことに対して訴えていた。勤続年数10年間の場合、解雇告知期間は 4ヶ月である。民法典によると、勤続年数に応じて解雇告知期間が長くなる。勤続年数 2年から 1カ月、15年から 6カ月、20年以上で 7カ月。

   使用者側は、民法典622条の規定を根拠として、雇用市場における年長者の再就職が若者よりも厳しいことから、移動性と柔軟性のある若い被雇用者の(解雇告知期間における)不利益は正当化されると主張していた。

   欧州裁判所は 4年前にも年齢による差別の禁止を「EU法の一般原則」とする判決を下しており、連邦憲法裁判所は欧州裁判所がこの問題で権限を超越していないか審議している。 

   使用者団体は欧州裁判所がEU法の適用範囲を大きく拡大したことによる法的不安定性を批判した。国内法に規定されていることの有効性が信頼できなくなってきたという。新しい労働契約では雇用関係終了の際に法定解雇保護か補償合意の適用を選択できるようにすることを立法者に求めている。

   フォン・デア・ライエン連邦労働大臣は欧州裁判所の判決を受けて、法律改正の準備を指示した。

2010年1月25日)

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