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ドイツの裁判所、口頭弁論に英語も認める

   

    ノルドライン・ヴェストファーレン州とハンブルク都市州の司法相は、経済訴訟の審理に英語を導入することを目指して裁判所構成法の改正を計画している。ドイツの司法立地を強化するこのプロジェクトには裁判官と弁護士も参加している。

   両州の司法相はドイツ裁判官連盟とドイツ弁護士協会の代表者と共に法案を作成した。法案によると、選ばれた地方裁判所に特別な国際商事部を設置する。当事者が同意した場合には、完全に英語で口頭弁論することができる。これは申立、調書、判決にも当てはまる。国際商事部の構成は通常の商事部を同じ。

   英語圏で法学修士を取得したり、国際弁護士事務所で働いていた裁判官が増えており、裁判官の英語力に問題はないという。

   ケルン上級裁判所では、現行の法律が許す範囲において2010年 1月 1日から民事訴訟における英語による口頭弁論が可能になった。アーヘン、ボン、ケルンの地方裁判所にも英語による国際商事部が設置された。法律が改正されるまでは口頭弁論だけに英語が適用され、書面と判決は従来通りドイツ語になる。

   これまでは、ドイツ企業が原告もしくは被告であるために関心の高い(国庫にも弁護士にも利益の多い)訴訟は、外国のビジネスパートナーの要望で英語圏の裁判所あるいは私的仲裁裁判所で審理されることが多かった。契約においても他の法秩序で合意し、英語であることが多い。従って、ドイツ人でない弁護士が依頼される。

   ドイツ語があまり普及していないことから、裁判所構成法が法廷用語をドイツ語に規定していることでドイツの裁判所立地が不利になっている。外国の契約相手方と訴訟当事者はドイツの裁判所で外国語(ドイツ語)で口頭弁論することを恐れてしまうという。

2010年1月25日)

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