ドイツのニュース

公務員は職員よりも裕福

   

    ドイツ経済研究所(DIW)が初めて実施した、年金・恩給期待権を含む財産の分配に関する調査によると、ドイツ人の2007年の年金・恩給請求権は約 4兆6000億ユーロ、金銭・現物財産は約 6兆ユーロだった。ほとんどの市民が法定年金保険に加入しているうえ、年金額には上限があるため、年金の財産は他の財産よりも均等に分配されている。

   しかし、同研究所の専門家は、将来は財産格差が年金でも広がると予想している。低所得者は法定年金のほかには個人的に蓄える余裕がない。長期間の失業や年金水準の低下により、高齢者の貧困リスクが高くなることを警告している。将来、貧富の格差が一層拡大することが懸念されるという。

   この調査では、公務員と恩給生活者が職員や年金生活者よりも裕福であることが明らかになった。

   債務差し引き後の年金・恩給期待権を含めた財産は平均で155336ユーロである。その内の約 8万8034ユーロは金銭・現物財産で、残る 6万7302ユーロが年金・恩給期待権。

   専門労働者と単純業務の職員の財産は 8万6544ユーロで、その内の年金期待権が 4万594ユーロ。資格を有する仕事をする職員の財産は13839ユーロで、その内の年金期待権が 4万9093ユーロ。管理職者の財産は386981ユーロで、その内の年金期待権が 7万8614ユーロ。年金生活者の財産は233222ユーロで、年金期待権が125093ユーロである。

   それに対して、下級・中級職公務員の財産は144047ユーロで、その内の恩給期待権が 8万683ユーロ、上級職公務員の財産は268365ユーロで、その内の恩給期待権が128026ユーロ。恩給生活者の財産は平均で502713ユーロで、その内の恩給期待権が306856ユーロである。

   自営業者では、従業員10人以上の自営業者の財産は1131967ユーロで、その内の年金期待権が 2万2600ユーロ、従業員が 1人~ 9人の自営業者の財産は368793ユーロで、その内の年金期待権が 2万3222ユーロ、従業員のいない自営業者の財産は22665ユーロで、その内の年金期待権が 4万6047ユーロである。

   公務員と恩給生活者は「二重の特権」を有する。年金保険料の自己負担がないうえ、年金額は職員よりも大幅に多い。解雇の心配もない。公務員の高い年金額は公務員の給与が私経済の給与をはるかに下回っていた時代からの遺物であるという。

   そこで、専門家は、公務員の給与が職員並みに引き上げられている現在、公務員も法定年金保険に加入させるべきかどうか議論する必要があると指摘している。

2010年1月25日)

戻る