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保安拘禁法改正、成立

   

     連邦議会は12月2日(木)、保安拘禁法改正案(精神障害暴力犯罪者の治療収容法と電子滞在監視の導入)を可決した。連邦参議院も1217日(金)に同法改正案を可決したことから、保安拘禁法改正は2011年1月1日に発効する。

   欧州人権裁判所が「現行の保安拘禁法は欧州法に違反する」とする判決を下したことから同法の改正が必要になっていた。

   保安拘禁は自由刑とは異なり、罪責に対する制裁ではなく、危険な犯罪が繰り返されることを予防し、公衆を保護するための措置である。

   保安拘禁法改正によると、保安拘禁処分を適用できる最も重い犯罪の範囲が従来よりも狭くなる。強盗、殺人などの暴力犯罪、性犯罪、国家保護犯罪などに限られ、窃盗や詐欺、通貨偽造、文書偽造などの犯罪には適用されない。保安拘禁は精神障害の犯罪者のみに適用される。

   また、現行の追加保安拘禁は大幅に廃止される。犯罪者が刑に服した後に、隔離された治療施設に収容されるべきである場合には、裁判所が判決において保安拘禁を科すか、少なくとも留保しなければならない。

   性犯罪者と暴力犯罪者においては、保安拘禁を科す場合、過去15年間の犯罪行為と服役した刑を考慮することができる。これまでは累犯時効が10年間だった。

   裁判所は判決において、重い罪を犯した初犯者(暴力犯罪もしくは性犯罪)に対しても、5年以上の自由刑である場合には、保安拘禁を留保することができる。

   現在、約500人が保安拘禁処分を受けており、その内の約半分が性犯罪者である。

   ロイトホイザー・シュナレンベルガー連邦法務大臣は、「法治国家として問題のあった追加保安拘禁が大幅に廃止され、留保保安拘禁が拡大されることを歓迎する」と語った。

2010年12月22日)

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