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連邦議会、保健改革関連法案を可決

   

     連邦議会は1111日(木)にドイツ薬品市場新秩序法案を、1112日(金)に法定疾病保険財源法案を可決した。連邦参議院も12月17日(金)に両法案を可決したことから、両法は2011年1月1日に発効する。

   ドイツ薬品市場新秩序法は特に薬品産業と薬局に関連する様々な変更と新規定を定めている。例えば、法定疾病保険金庫は製薬会社と統一価格交渉をする新しい権利を有する。

   製薬会社は薬品やワクチンの価格の割引きを受け入れなければならない。薬局と製薬卸売業はそれぞれ年間 2億ユーロずつ法定疾病保険と民間疾病保険のコスト削減に寄与しなければならない。

   製薬会社は初年度だけ新薬の価格を設定できるが、その後は疾病保険金庫と価格交渉しなければならない。製薬会社は新薬の追加効果を証明する研究結果を提示しなければならない。

   キリスト教民主・社会同盟の保健政策スポークスマンは、「この法律により、薬品の価格形成に介入し、製薬会社の価格独占を崩すことができる」と語った。連邦政府は薬品への支出増加を20億ユーロほど抑制できると見込んでいる。2009年は法定疾病保険金庫だけでも320億ユーロを薬品に支出した。

   また、法定疾病保険金庫の赤字削減を目的とする法定疾病保険財源法によると、約7000万人の法定疾病保険加入者の保険料率は2011年1月1日から15,5%に引き上げられる。現在は14,9%。

   雇用者の割合は 7%から7,3%に引き上げられる。但し、賃金付随コストの安定化のために、雇用者が負担する保険料率はこの水準で凍結される。

   今後のコスト増加分は被保険者の追加保険料で賄われる。疾病保険金庫は追加保険料を上限なしに徴収することができる。

   但し、すべての疾病保険金庫の平均的追加保険料が被保険者の保険料義務のある所得を 2%以上上回る場合には、その被保険者は社会的補償を請求することができる。連邦財務省は社会的補償の財源として20億ユーロを計上している。

   医者、病院、疾病保険金庫における支出が制限される。製薬産業と薬局もコスト削減に寄与しなければならない。法定疾病保険は2011年に1800億ユーロの支出を見込んでいる。

   レスラー連邦保健大臣は、「この保健改革により2011年の問題(90億ユーロの赤字の見通し)だけが解決されるのではなく、改善された公正なシステムへの移行が実現する」と語った。雇用者負担の保険料率の凍結は経済成長と雇用に貢献するという。

   野党と労働組合は「疾病保険制度における連帯の終わり」として厳しく批判している。給付サービスは改善されず、被保険者にとって多くの点で不公平になるという。

2010年12月22日)

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