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高齢化で要介護者が急増

   

     連邦統計局が発表したモデル計算は、ドイツ社会の急速な高齢化を示している。ドイツ人はますます長生きするが、それに伴って要介護者も急増する。病院への入院件数は現在の1790万件から2030年は1930万件に上昇し、介護施設と病院の収容需要が急増する。それに対して、出生率は2030年までに20%ほど低下するというシナリオが明らかになった。

   要介護者数は2005年の210万人(女性140万人/男性70万人)、2010年の240万人(160万人/80万人)から2020年は290万人(190万人/100万人)に、2030年は340万人(220万人/120万人)、2040年は390万人、2050年は450万人に増加すると予想される。

   80歳以上の高齢者数は2009年の410万人から2030年は640万人に、2050年は1020万人に増加する。この年齢層の要介護者数は2030年には220万人に(100万人増)、2050年は約350万人に増える見通しである。2007年は要介護者の約54%が80歳以上であったが、この割合は2030年は約65%に、2050年は78%に上昇する。

   このモデル計算では、年齢層ごとの介護率は現在と変わらないという前提に立っている。しかし、平均寿命が上昇すれば、今よりも健康な高齢者が増えることが考えられる。そこで、連邦統計局は、平均寿命が上昇すれば介護リスクも現在より高齢になってから出てくるという前提に立つ2つ目のモデル計算(低下する介護率)も行った。それによると、要介護者数は2020年が270万人、2030年が300万人、2040年が330万人、2050年が380万人になると予想される。

   病院(入院)治療件数は2030年までに 8%増加して1930万件人になる見通しである。高齢者が現在よりも健康であるという前提に立つと、1830万人。

   高齢化に伴い、60歳以上の年齢層の割合は現在の25,9%から2030年は36,8%に上昇する。60歳以上の病人は49%から62%に上昇する。特に男性のリスクが高まる。2008年は男性の病院(入院)治療件数が840万件であったが、2030年は940万件に増加すると予想される。女性の場合は2008年の950万件から2030年は990万件に上昇。

   高齢者に多い病気を理由として病院入院件数が急増する。例えば、2030年の心臓病による入院件数は26%増、癌による入院件数は17%増と試算されている。

   少子高齢化は政治にとって大きな挑戦であるが、介護・医療業界にとってはビジネスチャンスでもある。ダルムシュタット工科大学の調査によると、1995年の介護保険導入後、介護業界だけでも従業員数が50%増加して100万人を超えている。介護・医療業界は他の業界よりも高い成長率を示しており、経済危機の影響もさほど受けていない。

   社会の高齢化は介護・医療業界の成長の推進力になる。しかし、このブームのブレーキ要因である専門職者不足と疾病保険金庫・介護保険金庫の財源不足が解決されなければならない。

2010年12月22日)

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