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ミュンヘン市営病院、匿名出産を止める

   

   ミュンヘン市営シュヴァービング病院は、母親が名前を隠したまま出産する「匿名出産」を中止すると発表した。法的根拠がないため、続行が困難になったという。

   但し、新生児を匿名で預けることができる「赤ちゃんポスト」は続ける。現時点では「赤ちゃんポスト」の閉鎖は考えていないという。

   同病院は2001年に「赤ちゃんポスト」と「匿名出産」を試験的プロジェクトとして導入した。「匿名出産」は極度の窮地に陥っている妊婦に対して、名前を明らかにしなくても病院での出産を可能にする。多くの女性が特に家族内の暴力を恐れて「匿名出産」をしてきたという。

   同病院が新たに法的状況を審査したところ、役所に母親の名前を申告することなく出産を手伝った医師や助産婦には刑法上のリスクと法的責任のリスクがあることが明らかになったため、匿名出産の停止を決めた。

   キリスト教社会同盟(CSU)と緑の党、自由民主党(FDP)、左派新党の市議会議員は同病院に対して匿名出産を続けるよう求めているが、社会民主党(SPD)はこれを拒否している。

   同病院の発表を受けて、SPD市議会議員6名は「匿名出産」と「赤ちゃんポスト」に関する専門家ヒヤリングを提議した。ドイツでは、「匿名出産」は依然として法的に規定されていない。

2010年3月1日)

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