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連邦法務相、訴訟手続引き延ばしに関する法案を提示

   

    ロイトホイザー・シュナレンベルガー連邦法務大臣は 4月 8日(木)、訴訟手続きが不相当に引き延ばされている場合には、裁判所が当事者に損害賠償することを規定する法案「訴訟手続き及び刑法上の捜査手続き引き延ばしにおける権利保護に関する法案」を発表した。各州政府と関連団体は法案に対する意見表明をしなければならない。

   欧州人権裁判所がドイツに対して判決を下す事件の大半がドイツ国内における訴訟手続き引き延ばしを理由としているため、訴訟手続きの敏速化と法律上の救済手段をドイツ政府に求めていた。同法務相は、「誰にも適切な期間内に裁判上の権利保護を受ける権利がある」として、「権利保護の欠陥」を補うことを強調した。

   現在、区裁判所では第一審の民事訴訟は平均で4,5ヶ月、地方裁判所では8,1ヶ月、行政裁判所では12,3ヶ月かかる。しかし、これはあくまでも平均値であり、長い訴訟手続きになることも多く、州ごとに事情が異なる。長い訴訟手続きは当事者にとって経済的にも個人的にも大きな負担になっているという。

   法案によると、訴訟手続きが不相当に引き延ばされている場合の賠償額は1ヶ月当たり100ユーロである。当事者は賠償請求する前に、裁判所に対して遅延を責問しなければならない。その際に、引き延ばしにより発生する不利益を具体的に指摘しなければならない。

   この「前警告」により、訴訟手続きを敏速化する措置をとる機会が管轄の裁判官に与えられ、口頭弁論の期日を定めたり、未回収の鑑定を要求することができる。

   この敏速化が行われなかった場合には、引き延ばされている訴訟手続きがまだ継続していても当事者は 3ヶ月後に国に対して損害賠償の訴えを起こすことができる。この損賠賠償の訴えは上級地方裁判所の管轄とする。

   新規定は、基本法と欧州人権裁判所が保証する適切な期間内における裁判上の権利保護の請求権を保証するものである。連邦法務相は、「この新規定が司法全体にポジティブな効果をもたらすことを期待している」と語った。

2010年4月15日)

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