ドイツのニュース

最初の「赤ちゃんポスト」が設置されてから10

   

    ちょうど10年前にドイツ最初の「赤ちゃんポスト」がハンブルクに設置された。この「赤ちゃんポスト」を運用している少年援助協会が 4月8日(木)に発表したところによると、この10年間でハンブルク市内にある 2つの「赤ちゃんポスト」に 39人の赤ちゃんが預けられ、その内の 14人は後に母親に引き取られたという。同協会は母親緊急相談サービスを提供するほか、匿名出産も援助している。

   現在、ドイツには約 90の「赤ちゃんポスト」があり、約 130の病院で匿名出産ができる。連邦政府によると、これまでに 143人の赤ちゃんが預けられた。約 500人と推定する情報源もある。匿名のため、正確な統計はない。

   ハンブルクの少年援助協会によると、死亡した赤ちゃんが見つかることが未だにあるが、著しく減少しているという。同協会は、多くの母親が後に赤ちゃんを引き取りに来ていることに「赤ちゃんポスト」の意義を見ている。

   「赤ちゃんポスト」は依然として議論されている。法的根拠がないため、禁止も許可もされていない。しかし、戸籍法は、出生に関与した場合ないし出生を知っている場合には、その出生を戸籍役場に通知することを義務付けていることから、「赤ちゃんポスト」の運用者はこの法律に違反していることになる。また、「赤ちゃんポスト」反対者は、身元を知る基本権と実の親との関係に対する権利が侵害されていると批判している。

   そこで、倫理委員会は昨年11月、「赤ちゃんポスト」を閉鎖するよう勧告した。「赤ちゃんポスト」が実際に赤ちゃんの命を救ったという証拠がなく、嬰児殺の件数が減少したという証拠もないことを理由として挙げている。また、自分の血統(身元)を知るという権利を子供から剥奪することになる点を指摘している。倫理委員会は匿名相談サービスを拡充するよう求めている。

   ハンブルクの少年援助協会は、「まずは赤ちゃんが生きていることが重要だ」として、「赤ちゃんポスト」を擁護している。現在、赤ちゃんの出生は公証人が公証し、8週間後に管轄官庁に届け出ている。この期間中に母親は子供を引き取ることができる。「赤ちゃんポスト」は新生児の遺棄ないし殺害を防ぐことを目的としている。

2010年4月15日)

戻る