ドイツのニュース

学級の人数と生徒の学力には関連性がない

   

    2006年度IGLU小学校調査(PIRLS) 報告書によると、学級の少人数化が過大評価されていることが明らかになった。少なくとも小学校ではクラスの人数は生徒の学力に影響していない。教師のストレスと生徒数との関連性も見られないという。この調査は2006年に実施され、専門家が 300以上の学級を調査、分析した。

   専門家は、学級の少人数化の代わりに授業の質を改善する方が効率的に生徒の学力を向上させることができると結論付けている。

   国際的な研究では、生徒数の少ないクラスと生徒の学力向上の関連性を裏付ける調査結果はない。少人数のクラスは要求の高い授業を行い、各生徒の学力を向上させるチャンスとみなすことができるが、このチャンスを活かすか否かは各教師に依存しているという。

   ドイツの小学校では、学級の生徒数は平均で 22人である。これは他の欧州諸国と同じ。但し、学校、地域によってかなりの違いがある。

   一方、今回の調査でも専門家は子供の進学における社会的出身の影響を指摘している。労働者の子供は同じ知能、同じ読解力であっても教師からギムナジウムへの進学推薦をもらうことが上流階級の子供よりも 3倍も難しいという。

   州別で見ると、ザールランド州とザクセン州で社会的出身の影響が特に大きい(4倍)。ヘッセン州とバイエルン州でも影響が大きい。それに対して、ベルリン、ブレーメン、ブランデンブルク、メクレンブルク・フォアポメルン、テューリンゲンでは生徒の知能と読解力が考慮され、社会的出身は教師の決定に影響していない。

   シャヴァン連邦教育相は、全国統一した教科書の導入と教育政策における連邦の影響力の強化を求めている。各州政府は行動に移さなければならないという。

2010年5月16日)

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