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ミュンヘン市では介護施設の需要が減少している

   

    数年前まではミュンヘン市内の介護施設への入居が難しかったが、状況が変わってきたようだ。今では介護施設を選ぶこともでき、空室の中には人気のある個室も十分にあるという。

   これは、施設介護よりも在宅介護を希望する人が増えていることに起因している。自宅での介護には低賃金の東欧人を雇う人が多い。

   カリタス会によると、5年前は介護施設不足だったが、今は空室が増えている。東欧からの移住者が家政婦や介護者として住み込み、24時間介護をするケースが多くなってきたからだ。その影響は在宅介護サービスにも見られ、費用のかかる在宅サービスが断られる傾向にあるという。

   ミュンヘン市の社会福祉政策スポークスマンは、今は介護施設の供給過剰傾向がみられるが、要介護者の多くが最後の数ヶ月間は介護施設に入居していることを指摘した。

   介護施設ミュンヘンシュティフトでは、入居者の20%の入居期間が 4週間に過ぎない。介護施設経営者は介護施設を魅力的にするための対策を検討しなければならないという。

   一方、ミュンヘン市内における介護施設の需要が減少しているにもかかわらず、ミュンヘン市議会は 7か所の介護施設の拡張を決定した。収容人数を約1000人増加する。その内の半分は介護施設、残る半分は介護共同住宅のような代替介護形態である。

   ミュンヘン市の社会福祉課は、今後10年間で要介護者が4400人増えて約29000人になると予測している。今後も介護施設に代わる代替介護形態促進プログラムも継続していくという。

   ミュンヘン市は2004年に、2015年までに収容人数の1300人増加が必要になる(介護施設とそれに代わる介護形態に半分ずつ)と予測していた。

   しかし、現在、介護施設が新設されたにもかかわらず、介護施設の収容人数は全部で6700人と変わっていない。収容率は 92%。介護共同住宅では収容人数が約300人。

   ミュンヘンでは、19000人弱(介護保険のサービスを受けている人の 4分の 3以上)が自宅で介護を受けている。要介護者のほぼ半分は専門の介護サービスを受けずに、家族の者あるいは友人・知人に介護されている。

   ミュンヘン周辺地域にある比較的安い介護施設の入居者の約40%はミュンヘン市内から来た人である。

2010年5月16日)

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