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両親手当の効果が現れている

   

    グライフスヴァルド大学の調査では、2007年に導入された両親手当の効果が現れていることが明らかになった。比較的高い所得の家庭では出生数が上昇しており、比較的高い学歴の女性の出生数が増えている。特に、すでに子供が一人以上いる高学歴女性が両親手当導入後、子供を産む傾向にあるという。

   調査結果によると、両親手当導入前は母親の 42%が就業していたが、導入してから 2年後も 43%とほとんど変化は見られない。

   しかし、両親手当導入後、2人目ないし 3人目の子供を産む人が増えている。両親手当導入前は、所得が月額3000ユーロ以上の家庭の母親の9,7%が 2人目の子供を産んでいたが、導入してから 2年後はこの割合が14,4%に上昇した。導入前に 2人目の子供を産んだ女性の30%は10年以上の学校教育を受けていたが、導入後はその割合が 35%に上昇している。

   第一子を産んだ母親では、10年以上の学校教育を受けた母親の割合は導入前が33%、導入後が37%だった。

   全体的に、比較的高所得かつ高学歴の母親が両親手当を受給する割合が上昇している。但し、この現象が両親手当導入直後の短期的効果であることも考えられるという。

   一方、低所得かつ低学歴の母親では出産数がほとんど変わっていない。この層では両親手当の効果が見られない。

   両親手当導入後も出生率が上昇していないため、両親手当の効果を疑問視する意見があったが、フォン・デア・ライエン前家庭大臣は「少なくとも父親への影響は見られる」と強調していた。導入前は育児休業する父親の割合が約 3,5%であったが、2009年第3四半期は 20,7%だった。2008年は年平均15,6%、2009年は18.6%。

   連邦家庭省の調査では母親の社会的背景や所得、学歴などが把握されず、出生数の統計だけが比較されていた。しかし、両親手当の本来の目的は高所得・高学歴の人に対する育児休業促進にある。

   グライフスヴァルド大学の調査では、両親手当が高所得・高学歴層の出生率上昇に効果をもたらしていることが明らかになった。

2010年6月21日)

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