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一人で家族を扶養する女性が増えている

   

    シュレーダー連邦家庭相が 6月1日(火)に発表した2010年度家庭レポートでは、危機の時代には特に家族が支えになっていることが明らかになった。約4分の3の人が困難な時期には家族の助けを頼りにしていると回答している。未成年者の親では 5分の4に達している。

   一人親の約50%は育児で自分の親の援助を受けており、全体的に中高年者と若者が助け合っている。ドイツでは祖父母が孫の世話に当てる時間がスカンジナビア諸国のほぼ 2倍である。逆に、ドイツでは他の欧州諸国よりも子供が親の世話をしている。

   また、一人で家族を扶養する女性の割合が顕著に増加しており、一人親の男性は減少している。家計収入に占める女性の割合も増加傾向にある。パートナーよりも所得の多い女性の割合は旧西独で1991年の 7%弱から2006年は約11%に上昇した。旧東独では11%から15%に上昇。旧西独では、ほぼ40%の家庭で女性の所得が男性の所得と同じかそれ以上である。1991年は 3分の1にも満たなかった。但し、パートナーの失業が理由であることが多い。

   この現象の背景には意識の変化が見られる。女性の42%は、「母親と父親が短時間勤務をして、平等に育児をするのが最も良い」と考えている。10年前は30%。男性では 3人に 1人。

   しかし、依然として、3人に1人の女性は、「母親が働いていると幼児に悪影響を及ぼす」と考えている。

   女性の67%、男性の58%は、「パートナー両方が働くべきだ」と回答している。フルタイム勤務の親の大半は勤務時間を減らしたいと考えており、パートタイム勤務の親は勤務時間を長くすることを希望している。

   保育所に通う 3歳未満児の割合は20%に上昇した。これは前年比15%増の53000人。但し、移住者の子供では約10%に過ぎない。3歳~6歳の子供の92%は保育施設に通っている。

   一方、一人親家庭で育つ子供も増えている。一人親の割合は過去10年間で15%から20%に上昇した。一人親の90%は母親である。一人親の母親の 3分の2は働いている。一人親の母親の42%がフルタイム勤務であるのに対して、パートナーのいる母親では27%に過ぎない。

   しかし、一人親家庭の子供は貧困リスクが特に高い。国からの社会給付を受けている一人親の割合は41%に僅かに減少した。一人親の3分の1弱は育児でもう一方の片親の援助を受けている。

   子供の貧困リスク水準は18%でほとんど変わっていない。一人親の子供のほか、移住者の子供、兄弟姉妹が2人以上の子供の貧困リスクが高い(ほぼ2倍)。

   シュレーダー連邦家庭大臣は、子供の貧困リスクを少なくするためには国の支援給付(例えば、子供手当)が不可欠であると語った。子供手当、両親手当などの給付が家族の収入を高め、経済需要も支えているという。

   同大臣は両親手当も成功例として挙げている。2009年は 5人に1人の父親が育児休業を取った。特に管理職の父親が多いという。男性の60%は、「子供が産まれれば育児休業したい」と回答している。

   16歳以上の人の87%は、「フレキシブルな勤務時間が仕事と家庭の両立において最も大切だ」と考えている。4分の1の人は、「家族と過ごす時間が少なすぎる」という。

   50%の人が「育児は両親の任務であり、父親も育児休業すべきだ」と回答した。全体的に、家計収入における男女の割合が同じになる傾向がみられると同時に、仕事と家庭における分担も平等になりつつあるという。

2010年6月21日)

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