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連立与党、原子力発電所の運用期間延長で合意

   

     連立与党(キリスト教民主・社会同盟CDU/CSUと自由民主党FDP)は9月5日(日)、原子力発電所の運用期間を従来の計画よりも平均で12年間延長することで合意した。連邦内閣はこの合意に基づく原子力法改正案を9月中に閣議決定する予定である。

    合意した今後40年間のエネルギーコンセプトによると、ドイツにある17か所の原子力発電所の運用期間が延長される。運用延長期間は1981年以前に建設された原子力発電所(7ヶ所)が最高 8年、それ以降に建設された近代的な原子力発電所(10ヶ所)が最高14年である。

    その結果、計算上では、最後の原子力発電所が廃止されるのは2037年になる。社会民主党(SPD)と緑の党の旧連立政権が決定した原子力発電からの完全撤退計画では2023年に最後の原子力発電所が廃止される予定であった。

    原子力発電所運用会社は国の財政立て直しと再生可能エネルギー財源のために、2011年から2016年まで毎年、新しい核燃料税23億ユーロを連邦に納入する。さらに、14億ユーロを再生可能エネルギー特別基金に払う(2011年と2012年は年間 3億ユーロ、次の4年間は年間 2億ユーロ)

    2017年以降は核燃料税はなくなるが、現在の算定でメガワット時当たり 9ユーロの公課を基金に納める(メガワット時当たり50ユーロの取引電力価格を基準にしている)。電力価格が上昇すれば、公課も上昇する。

    レットゲン連邦環境大臣(CDU)は10年以下の延長期間を求めていたが、ブリューデルレ連邦経済大臣(FDP)とCDU/CSU党内の一部に押し切られた形となった。同経済大臣は「適当な妥協案だ」と評価している。

    社会民主党(SPD)と緑の党は「原子力発電会社の圧力団体への降伏だ」として厳しく批判している。

    連立与党が連邦参議院での過半数を失ったことから、連邦政府は原子力法改正案を連邦参議院の同意なしに成立させる意向である。それに対して、SPDと緑の党、いくつかの州政府は連邦憲法裁判所に訴訟を起こす構えを示している。

2010年9月17日)

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