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欧州人権裁判所、教室内のキリスト十字架像は適法

   

     欧州人権裁判所の大法廷は 318日(金)、公立学校の教室内に掛けられたキリスト十字架像(キリストの磔像)は欧州人権条約に違反しないとする決定を下した。この決定は2009年9月の小法廷の決定を修正するものである。

   イタリア人女性が子供の通う公立学校の各教室にキリスト十字架像が掛けられていることに対して、人権を蹂躙するものだとして提訴していた。小法廷は2009年に、イタリアは子供の教育における親の権利と宗教の自由に違反するとして、5000ユーロの賠償を命じる決定を下していた。

   大法廷は、教室の壁に掛けられたキリスト十字架像が宗教的シンボルとみなされるとしても生徒に影響を及ぼすことを証明することはできないとした。国には教育と授業の領域における国家の任務と両親の権利の尊重を両立させ、国の宗教的、世界観的信念に応じた授業を保障するための「判断の余地」があることを強調した。

   宗教における親の教育の自由と国の学校授業をいかに調和させるかは国の任務である。従って、欧州人権裁判所は、この領域における国の決定が思想的教化(洗脳)に導くのではない限り、その決定を尊重しなければならないとしている。

   この領域における国の決定が思想的教化(洗脳)に導かれないように保障することを欧州人権裁判所は義務づけられており、同裁判所は「判断の余地」をコントロールしていくという。

2011年3月22日)

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