ドイツのニュース

宗教の記載義務は適法

   

     ドイツでは、給与所得税算出データ認定カード(Lohnsteuerkarte)に宗教を記載することが義務付けられているが、欧州人権裁判所は宗教の記載義務は適法であるとする判決を下した。宗教の記載義務は宗教の自由に違反しないと判断した。

   ドイツの弁護士が「宗教の記載義務は宗教の自由、個人生活・家族生活の権利に違反する」として欧州人権裁判所に訴えていたが、同裁判所はこれを棄却した。

   ドイツでは(キリスト教信徒が払う)教会税が徴収されるため、給与所得税算出データ認定カードに宗教を記載しなければならない。

   この弁護士は同性愛者として教会の立場を拒否しており、「その教会の徴税手続きへの参加は要求(期待)しうるものではない」、「教会税の徴収は法的根拠がない」、「宗教の記載義務により、同性愛者として差別を受けた」と主張していた。

   それに対して、欧州人権裁判所はすべての主張を退けた。宗教の記載義務は原告の権利への侵害ではあるが、この侵害はドイツの法律に基づいて規定されており、期待不可能な負担ではないとしている。また、宗教の記載データは公表されず、限定された情報に過ぎないという。

   ドイツの裁判所も欧州裁判所と同じような理由から訴えを棄却していた。

2011年3月22日)

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