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与党、地方医不足対策で合意

   

     与党(キリスト教民主/社会同盟CDU/CSUと自由民主党FDP)は 4月8日(金)、地方医不足対策と地方における医療サービスの改善に関する基本方針で合意した。これに基づいてレスラー連邦保健大臣は、地方における医師不足の改善を目的とする「医療援護法」案を近いうちに提出する。同法は2012年に発効する予定である。

    合意事項によると、診療所開業計画では、州は連邦レベルにおける共同発言権が与えられると同時に、州レベルでは連邦統一した計画から逸れることも可能になる。場合によっては、州は医師と疾病保険の計画委員会に対して、医師不足の地域に診療所を認可するよう指図することができる。地方郡内における医師の配分も柔軟に行うことができるようになる。

    医師不足の地域で開業する地方医は報酬上の優遇措置を受ける。地方医の労働条件と報酬が改善される。保険医の勤務地居住義務は原則的に廃止され、都市部に住んで田舎で働くことも可能になる。医者不足の地域で従事した医師は、後の都市部における開業の際に優遇される。

    救急における病院との連携が改善される。地方医の後継者が見つからない場合には、疾病保険医協会や市町村が診療所を設置して医師を雇用することができる。

    医師過剰地域(人口密集地域、都市部)では、診療所閉鎖を促す対策を施す(閉鎖する場合の優遇措置)。法定疾病保険医協会は診療所を買い受けることもできるようになる。

    また、医師を増やすために、医学部への入学許可手続における高校卒業試験の成績への依存度を下げる。例えば、介護の職業教育の修了や任意の社会福祉活動期間における活動なども入学許可の基準に加えられる。地方医になることを義務づけた学生を優遇する。全体的に医学部学生数を増やす。

    レスラー連邦保健相はこれらの対策に伴う追加費用については言及しなかった。疾病保険金庫と疾病保険医は地方医不足対策を歓迎している。

    現在、ドイツでは約15万人の家庭医、専門医、精神療法医が法定疾病保険加入者の医療に当たっている。しかし、医師は報酬の高い都市部に集中し、過疎地における医師不足が深刻化している。医師の高齢化と社会の高齢化により、医師不足が一層悪化することが懸念されている。

2011年4月23日)

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