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ドイツの原発は大型飛行機の墜落事故には耐え得ない

   

     レットゲン連邦環境大臣は 3月の福島原発事故の後、原子炉安全委員会にドイツ国内の原子力発電所17基の安全性調査を依頼していたが、その報告書が 5月17日に発表された。

    同委員会は、地震、洪水、暴風雨、干ばつなどの自然災害、飛行機墜落、爆発、テロ行為、コンピューター攻撃などの事故に対する安全性(緊急電源、緊急冷却など)を調査し、安全性レベル1(低)、2(中)、3(高)で評価した。

    飛行機墜落のケースを例外として、その他のすべての自然現象及び事故では、ドイツの原発のロバスト性(頑強性)は高かった。

    同委員会のヴィーランド委員長は、東日本大震災と津波は「想定外」ではないとして、福島原発の安全対策を批判した。この立地では 3月11日の規模の津波は想定していなければならなかったし、その対策が取られていなければならなかったという。ドイツの原発ではそのような設計の欠陥はどの基にも見られなかった。

    しかし、古い 7基のうち 4基は飛行機墜落に対する安全対策がなされていないことが明らかになった。3基は小型飛行機だけに耐えられる(レベル1)。残る10基は中型飛行機には耐えられるが(レベル2)、大型旅客機の墜落に耐えられる原発はなかった。

    17基の中で、すべての調査項目で最高レベル(3)ないしレベル2を満たした原発はなかった。

    同委員会は、ドイツの原子力発電所は大型飛行機の墜落事故には耐え得ないと判断したが、即時停止は勧告していない。

    レットゲン環境大臣は、この調査結果からは原発を即時停止しなければならないという指摘は見られないとして、「即時完全撤退を勧告する安全技術上の理由はない」と語った。しかし、できる限り早く、冷静に原発から撤退し、再生可能エネルギーと効率化により代替することが必要不可欠の要請であることは明らかであると強調した。

    飛行機の墜落に対する安全性が不十分であることが再確認されたことから、古い原発 7基を停止させることは正当化されると見ている。

    連邦政府は原発法改正と原発稼働年数の短縮について 6月初旬に決定する予定である。

    緑の党のトリティン氏は、調査期間が短すぎることを指摘し、それにもかかわらず「ショッキングな結果だ」として、原発からの完全撤退をスムーズに推進しなければならないと語った。古い 7基と2009年以来停止している 1基は完全に停止させなければならないという。

    環境保護団体グリーンピースは2015年までに完全撤退するよう求めている。環境保護団体と原子炉専門家は、「全体的にロバスト性あり」とする調査結果を批判している。

2011年5月24日)

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