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連邦内閣、CCS法案を閣議決定

   

     連邦内閣は二酸化炭素回収・貯留技術の応用を目的とするCCS carbon capture and storage)法案を閣議決定した。

    CCS法案によると、二酸化炭素貯留はデモンストレーションに制限される。また、申請は2016年末までであること、施設当たりの年間貯留量は300万トン以下であること、全国の年間貯留量は800万トン以下であることなどの条件が付けられる。

    CCS法は二酸化炭素貯留の実験とデモンストレーションのための法的枠組みを形成し、計画及び投資の安全性を保証する。継続的貯留の実験及びデモンストレーションへの制限、最高水準の環境保護及び安全性の適用、金銭的担保等の効果的な予防措置、CCS技術への段階的な参入などを規定している。

    CCS技術の広範な導入については二酸化炭素貯留の安全性が十分に立証された段階で決定する。CCS法は2017年に広範にわたって評価され、見直される。評価結果がポジティブである場合には、CCSをさらに推進していく。

    CCS技術には異論があるが、テスト運用を可能にすることで、安全性の実証を図る。但し、住民の反対があればCCS技術の実験または導入はできない。デモンストレーション貯留施設の許可においても広い住民参加が必要になる。

    また、各州は専門的考慮の枠内で二酸化炭素の貯留が許可される地域と許可されない地域を選定することができる。

    EU内で計画されている最高12ヶ所のデモンストレーションプロジェクトのうちの最低 1ヶ所をドイツ国内に実現するための法的基盤を整備することがCCS法の目的である。CCS法は今年秋に発効する予定である。

    レットゲン連邦環境大臣によると、CCS技術の実験はドイツ産業立地に新たな展望を開く。エネルギー政策の転換(原発からの早期完全撤退)においても石炭火力発電所は長期的にまだ重要な電力生産手段である。CCS技術は火力発電所における二酸化炭素排出量削減だけでなく、バイオマス利用の際に発生する温室効果ガスの削減にも貢献できるという。

2011年5月24日)

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