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OECD、幼児の早期保育が最重要

   

     経済協力開発機構(OECD)は家族報告書の中で、子供の貧困を無くし、教育を向上させるためには保育インフラ整備への投資が特に効率的であるという結論に至っている。特に 5歳未満児の保育促進への公的資金の投入が有効で、早ければ早いほど効果的だという。

    OECD30カ国以上の加盟国の家族政策を調査した。平均を上回る良い結果を示したのはオーストラリア、ベルギー、フランス、オランダ、ニュージーランドだった。

    OECD平均では国内総生産の2,2%が家族政策(育児休暇、子供手当、税制上の優遇措置など)に支出されている。上位はフランス、デンマーク、アイスランドで3,5%以上。それに対してドイツは2,8%弱。

    家族政策で良い成果を示した国では家族政策として公的資金の約半分を現物給付(幼児の早期保育・教育施設の利用など)に充てている。それに対してドイツでは税制上の優遇措置で家族支援をする傾向が強く、すべての給付の 3分の1は親の税制上の優遇措置に充てられている。

    税制上の優遇措置はOECD平均では給付の10%にすぎない。他の国は幼児保育や学童保育、全日制学校のようなインフラに投資している。OECDは緊縮財政下においても幼児保育への投資を保持するよう加盟国に求めている。

    原則的に、公的資金の投入が子供の成長段階の早い時期であればあるほど、その投資の「利回り」も大きい。しかし、大半の国では教育投資の大部分を就学してからの教育に充てている。そこでOECDは、大学教育への民間投資を増やし、その分の公的資金を幼児教育へ回すことを提案している。

    一方、OECDの専門家は家族政策による出生率の上昇に大きな期待をかけすぎないよう警告している。ドイツでは、子供が18歳になるまでに国がその教育と家族政策に支出する公的資金は子供一人当たり146000ユーロで、OECD平均の124000ユーロを大きく上回っているが、合計特殊出生率は1,36で、OECD平均の1,74を下回っている。

    OECDはドイツの両親手当制度の「父親の月」をポジティブに評価しているが、専業主婦世帯に対する分割課税による税制上の優遇措置を批判している。

    北欧諸国やフランスでは、幼児保育施設と学童保育施設が整備されているため、育児と仕事の両立が実現している。デンマークでは子供の貧困が最も低い。OECDは、子供の貧困を防ぐためには両親の就業が最も効果的であることから、女性の就業を促進するよう勧告している。

2011年5月24日)

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