ドイツのニュース

工学部は依然として女性が少ない

   

    ドイツは他の欧州諸国よりもエンジニアが多く、欧州最大の輸出国である。しかし、将来のエンジニアの育成では見通しが暗い。

    ドイツ経済研究所によると、機械・自動車工業では、中高年の専門職者100人に対して、若い専門職者は77人に過ぎない。定年退職する専門職者数と新入社員の専門職者数の差が広がるばかりである。ドイツエンジニア協会(VDI)によると、2011年5月は7万3000人の専門職者が不足しており、これは過去最高水準だという。

    専門職者不足は今に始まったことではなく、すでに2002年に連邦と州の管轄委員会が数学/情報科学/理工学部における女性の割合を増やすための教育計画を勧告した。しかし、共同学術会議(GWK)の調査では、この委員会の勧告がほとんど実施されていないことが明らかになった。これらの学部は女性に魅力的な学部になっておらず、教育計画の効果が現れていないという。

    数学/情報科学/理工学部における女性促進プログラム(全部で319のプログラム)を評価分析したところ、有効に活用されていないことが明らかになった。特に女性エンジニアは雇用市場で不利に扱われているという結論に至っている。

    そこで、専門家は企業に対して、募集採用及び昇進制度を見直すよう勧告している。企業は工学部を卒業した女性の多くがエンジニアとして働いていない現状を鑑み、メンタリングプログラムを投入すべきだとしている。

    2007年はドイツで就業しているエンジニアの中で女性の割合は15%に過ぎなかった。スウェーデンではエンジニア4人に1人が女性である。

    数学/情報科学/理工学部に入学する学生の割合は女性の場合が25%、男性が50%である。もっと女子学生を増やすためには、女性が好む傾向にあるプロジェクト中心の作業を増やしたり、外国語や留学にもっと重点を置かなければならないという。

    工学部に占める女子学生の割合は1975年の10%以下から22%まで上昇した。但し、持続的には上昇していない。

    それに対してドイツエンジニア協会は、これは社会的なプロセスであり、ゆっくりではあるが持続的に進展していると評価している。

2011年7月26日)

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