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ドイツ人の自負心が高まっている

   

    アレンスバッハ世論調査研究所の調査結果によると、ドイツ人の自負心が高まっている。

    「世界におけるドイツの影響力」に関するという質問では、66%の人が「極めて大きい」あるいは「大きい」と回答している。昨年3月は47%だった。

    「世界におけるドイツの影響力は過去10年間で大きくなったか、小さくなったか、あるいは変わらないか」という質問では、52%が「ドイツの影響力は大きくなった」と回答した。「小さくなった」と回答した人は7%。

    「欧州におけるドイツの役割」についての質問では、81%の人が「欧州におけるドイツの影響力は極めて大きい」もしくは「大きい」と回答した。この世論調査が初めて行われた1997年以来の最高水準である。57%の人は「欧州におけるドイツの影響力は過去10年間で大きくなった」と答えている。これも過去最高水準。

    メディアでは「ドイツが世界で孤立する傾向にある」という印象が持たれているが、国民は「ドイツが益々重要な役割を果たしている」と確信しているようである。

    その背景には、ドイツ人の自己像の変化、イラク戦争により米国に対する信頼が揺らいだことの影響、ユーロ圏の危機とそれに伴うEUの危機があるとみられる。

    ドイツ人の自己像の変化は特に2006年のサッカーワールドカップ以来指摘されている。ドイツ人は過去20年間で徐々に(ナチスの)第三帝国のトラウマから脱皮し、アイデンティティーを取り戻しつつある。依然としてドイツ人の国民的自尊心はフランス人や米国人ほどではないが、過去20年間で自負心は顕著に高まっている。

    「どの国がドイツの最大の友好国だと思うか」という質問では、常に回答者の約半分が米国を挙げてきた。しかし、2003年のイラン戦争開始でドイツ人の米国への信頼が11%に大きく低下した。それに対してフランスを最大の友好国と回答する人が41%にまで上昇したが、今では再び以前の水準の18%に低下している。但し、米国への信頼はそれほど回復していない(22%)。

    「米国人を好きか。それほどでもないか」という質問では、西ドイツ人の40%、ドイツ人全体の38%が「米国人を好きだ」と回答している。「それほどでもない」は27%。以前よりも低い水準ではあるが、低下幅は少ない。最も低下した2005年は「米国人を好きだ」と回答した人は西ドイツ人の33%、ドイツ人全体の30%だった。

    「米国はドイツと協力していこうとしていると思うか」という質問では、59%が「思う」と回答している。「フランス」は51%。ドイツ人の68%はオバマ大統領をポジティブに評価している。

    「米国は信頼できる大きな兄貴だ」という思いは二度と戻ってこないように思われるが、米国に代わる国もない。ドイツ人は成人したようである。

    「ドイツはどの国とできるだけ親密に協力していくべきか」という質問では、「米国」と回答した人が2000年は77%だったが、現在は52%。「フランス」と回答した人は69%から55%に低下した。「日本」は47%から31%に、「英国」は53%から36%に低下した。それに対してロシアは35%で変わらず、中国は28%から34%に上昇している。

    「ドイツにとって最大の安全保障の手段は何か」という質問では「NATO」と回答した人が59%だった。2005年は66%。「欧州連合」は66%から63%に低下した。「米国との親密な関係」は37%から32%に低下した。

    「ドイツには国際的な共同体への参加が必要だ」という確信がゆっくりではあるが、気付かないうちに失われつつあるようだ。

2011年7月26日)

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