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保育士不足が保育施設拡充の抑制要因になる

   

    ドイツ青少年研究所(DJI)によると、国が計画しているように1歳以上3歳未満児の39%(連邦平均)に保育施設における保育を提供する場合、2013年には旧西独で約2万4700人の保育士が不足するという。

    2013年7月1日から法律で保証される1歳以上3歳未満児の保育施設における保育の実現が保育士不足で危ぶまれている。専門家も保育施設も市町村も著しい保育士/保育ママ不足を懸念している。

    旧東独ではこの年齢層の子供の51%、旧西独では37%が保育施設での保育を受けると予想されている。特に旧西独で保育士不足が深刻である。

    同研究所によると、ノルドライン・ヴェストファーレン州ではほぼ7000人、ニーダーザクセン州では5000人以上、ヘッセン州では約3500人の保育士が不足する見通しである。旧東独では保育士の追加は必要ないと見られる。

    保育士の給与が少ないことから家族の主収入でなく、副収入となるケースが多いため、保育士の移動性(転勤)が低い。その結果、地域の保育士不足と過剰を調整することが難しいという事情がある。

    保育ママの給与は保育士よりもさらに少なく、保育ママ不足は保育拡充の大きなネックになると見られる。現在、ドイツには約38000人の保育ママがいるが、2013年までにさらに約3万2000人が必要になる。

    「保育施設拡充の抑制要因となる保育士不足への対応が遅すぎた。建物への投資だけでは十分でない」と専門家は批判している。

    それに対して、連邦家庭省のヘッケン政務次官は、約24000人の不足は十分に対処できるという見解である。また、人員不足の解消は州政府の義務であると指摘した。それに対して、専門家は、連邦/州/市町村の責任ある連携を求めている。

    連邦と州は2008年の児童奨励法で、2013年までに3歳未満児の35%に保育施設での保育を提供することで合意した。これは約75万人に相当する。しかし、現状ではこの目標を達成できる見通しがたっていない。過去4年間で保育所に通う3歳未満児は185000人から472000人に増加したが、目標の75万人にはまだ28万人も少ない。

    Forsa研究所の世論調査結果によると、18歳~40歳の女性の66%は自宅以外で保育させたいと考えているという。

    すでに多くの市町村で保育士が不足しているため、様々な保育士獲得策がとられている。例えばミュンヘン市では、補助金や安い住居を提供したり、保育士の職業教育を強化している。また、職場の見つからない小学校教員を保育士に転職させるプログラムもある。市町村間の保育士獲得競争が激しくなっている。

2011年8月26日)

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