ドイツのニュース

早期年金受給者が増加

   

    法定年金受給開始年齢(65歳)に達する前に年金生活に入ると、支給される年金額が削減されるが、それにもかかわらず65歳前に退職する人が増えている。

    ドイツ年金保険機関の統計によると、2010年に年金受給を開始した人は約674000人で、その内の47,5%(約32万人)が65歳前の早期年金受給者であった。2005年は41,2%、2000年は14,5%。実際の年金受給開始年齢はこの10年間で62,3歳から63,5歳に上昇した。

    早期年金受給者の年金額は平均で月額113ユーロ削減された。これは10年前よりも約80ユーロ多い。45年間働いた平均所得者の年金は月額1236ユーロである。

    年金保険機関は、早期年金受給者の割合の上昇は法律改正と人口統計学上の効果(年金を受給できる60歳以上の被保険者の増加)に起因していると見ている。

    また、連邦労働省のスポークスマンによると、早期年金受給者の増加は仕事をする女性の増加とドイツ統一の影響を要因としているという。旧東独では女性の就業率が高かった。2005年~2010年の期間に早期退職した女性は約4万5000人増加して185000人だった。それに対して、早期退職した男性は継続的に減少しており、134000人に4万4000人減少している。

    労働組合は、早期年金受給者増加の原因は中高年者に厳しい雇用市場にあると見ている。2012年1月1日に始まった法定年金受給開始年齢の67歳への引き上げは厳しい雇用チャンスゆえに実質的な年金削減になると批判している。

    それに対して、連邦労働省は、2005年から2010年にかけて60歳~64歳の年齢層の就業率が20%から41%に上昇したことを指摘して、労働組合の批判を退けた。

    しかし、この年齢層で就業している人の大部分はミニジョブに従事しており、正規に社会保険を義務付けられている職場に従事している人の割合は25%に過ぎない。多くの早期年金受給者は年金削減分をミニジョブで補充しているのが現状だ。

    法定年金受給開始年齢より早く年金受給を始めると、年金は1年当たり3,6%、月0,3%の削減になる。2012年1月1日から法定年金受給開始年齢が年々引き上げられ、最終的に67歳になる。

2012年2月22日)

戻る