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連邦議会、患者権利法案を可決

   

    連邦議会は1129日(木)、患者の権利を改善する患者権利法案を可決した。野党は患者の権利保護が不十分だとして法案に反対した。同法案は連邦参議院でも審議されるが、連邦参議院の同意を必要としない。同法は2013年1月1日に発効する。

    同法案の概要は下記の通りである。

    * 治療契約が民法典で明確に保証される。患者と医師/その他医療従事者(治療師、助産婦、精神療法士、理学療法士など)の間の契約関係が規定される。

    * 患者に分かりやすく、広範に情報(必要な検査、診断、治療、費用などに関する情報)を提供しなければならない。法定疾病保険金庫が負担しない治療の費用を患者に指摘しなければならない。

    * 医師に説明義務が課せられる。治療・手術前に患者に具体的な治療、リスクについて広範に説明しなければならない。患者が十分に熟慮できるように、適時に個人的に説明しなければならない。書面による説明だけでは十分ではない。

    * 医師に記録義務が課せられる。患者のカルテを完全かつ注意深く記録しなければならない。記録に欠如がある場合、不完全である場合には、訴訟において、記録されていない治療は施されていなかったと推定され、医師の不利になる。医師は電子カルテ保護のために不正操作防止ソフトを使用することを義務付けられる。

    * 患者にはカルテを閲覧する権利がある。

    * 医師責任が透明化される。「単純な」医療過誤の場合は従来通り、医療過誤であること並びにその医療過誤が損害の原因であることを患者が立証しなければならない。「重大な」医療過誤のような特定のケースでは、医師に立証責任がある。

    * 法定疾病保険金庫が給付決定の期限などの手続規則を守らなかった場合には、被保険者はかかった費用を請求できる。法定疾病保険金庫は3週間以内に、医療サービス(MDK)が関係する申請については5週間以内にその申請について決定しなければならない。歯医者の治療に関する申請については6週間以内に決定しなければならない。決定が期限より遅れることの十分な理由が通知されない場合には、その申請は許可されたものと見なされる。

    * 疾病・介護保険金庫は医療過誤に対する被保険者の損害賠償請求を援助することを義務付けられる。例えば、立証のための医療鑑定サービス。

    * 医療機関におけるリスクマネジメント・過失予防システムが促進される。医療施設における専門的な品質管理には患者のための苦情マネジメントも含まれる。

    * 患者参加、患者支援団体の参加が強化される。

2012年12月21日)

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