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施設介護を受けている人の半分以上は認知症

   

    疾病保険金庫の医療サービス(MDS)は介護報告書を発表した。これは無作為抽出した10万人の要介護者の介護状況を調査したものである。

    特に介護施設における介護の質が改善しているが、施設介護を受けている人の61%弱が認知症になっていることが明らかになった。在宅介護では、27,9%の要介護者が認知症のために自立した生活ができなくなっている。

    認知症患者の介護は特に社会的活動のサービスで改善したが、不十分な床擦れ予防措置から鎮静剤の乱用に至る大きな欠陥が依然として見られる。

    痛みに対する措置が患者の54%にしか施されていないために、介護施設の要介護者の31%は慢性的な痛みを訴えている。

    疾病保険金庫連盟は、介護改革の枠内で計画されている認知症患者の介護改善に関する介護保険法改正を2013年ではなく2012年に発効させるよう政府に求めている。

    介護改革では、次の立法期間に要介護度の概念を見直して新しい要介護度制を導入することが計画されているが、328日に連邦内閣が閣議決定した介護保険法改正案ではそれを先取りして新しい「要介護度0」が導入される。要介護度がなくても自立した日常生活が著しく制限されている人に適用される。

    要介護度のない「要介護度0」の人は介護手当月額120ユーロあるいは225ユーロまでの介護サービスを受けることができる。認知症患者はこれまでの手当100ユーロ(重度の場合は200ユーロ)に加えて、「要介護度0」の介護手当120ユーロないし225ユーロまでの介護サービスを受給できる。

    「要介護度1」の人は介護手当305ユーロか665ユーロまでの介護サービス、「要介護度2」の人は介護手当525ユーロか1250ユーロまでの介護サービスを受けることができる。認知症患者も要介護度に応じて介護手当ないし介護サービスを受給できる。

    また、要介護者とその家族は介護職員と介護サービスの内容について柔軟に決定することができる。特に認知症患者の要望が考慮されるようになる。

    在宅介護と施設介護の中間的介護形態として、共同生活グループが促進される。共同住居に住む各要介護者には月々200ユーロの追加手当が支給され、共同住居における費用を負担する。

    バール連邦保健相の介護保険法改正案は今年秋に発効する計画であったが、財務大臣の圧力を受けて2013年1月1日に発効する予定である。

    現在、要介護者数は約240万人で、認知症患者は120万人以上、その内の40万人が介護施設に収容されている。

    ドイツ経済研究所の予測によると、要介護者数は2010年の238万人から2020年には294万人に、2040年には410万人に増加する見通しである。

2012年5月23日)

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