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大卒者急増と中級専門職者不足

   

    連邦職業教育研究所(BIBB)と連邦雇用庁の労働市場・職業研究所(IAB)は、2030年には経済界が必要とする労働力が不足すると予測している。これまでは2025年に労働力が不足すると懸念されていた。

    この見通し改善の背景には二つの要因がある。まず、2000年以降、55歳以上の年齢層の就業率が著しく上昇している。次に、女性の就業率が上昇している。この二つの要因が少子・高齢化に伴う労働力減少の一部を補うと専門家は見ている。

    また、現在、大学進学率が45%に上昇しており、大卒者が増えている。

    専門家によると、資格や職種、地域によっては2030年以前に労働力不足になる。大卒者が急増する一方で、中級資格の専門工や専門職者(職業教育修了資格取得者及び職業専門学校卒業者)が大幅に不足するという。

    そこで、「政府は大学進学率の向上だけを優先するのではなく、中級資格労働力の不足に対する措置を講じなければならない」と専門家は提言している。

    試算によると、現在の傾向が大きく変わらないと仮定した場合、2030年までに中級資格の専門職者1150万人が退職し、700万人が新規採用される。労働力不足に基づく賃金上昇を要因として経済界の労働力需要も多少減少するが、中級資格専門職者不足は深刻化する。

    一方、2030年までに230万人の大卒者が退職するが、大卒者はほぼ500万人に急増する。供給が需要を上回り、「多少の過剰」になると予想される。就業者に占める大卒者の割合は17%から24%に上昇する。

    特に、学士号取得者における職場不足が予想される。その結果、学士号取得者が技術専門工やマイスターとの競争に陥ることが懸念されるという。

2012年5月23日)

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