ドイツのニュース

職業訓練生が不足している

   

     政治家も経済界も少子・高齢化が経済に及ぼす影響を警告してきたが、その影響が感じられるようになってきた。

    まずは職業訓練生にその影響が出てきた。専門職者を確保するために、工業/商業/サービス業は今年、2011年よりも25000人多い職業訓練生を採用する意向であるが、その目標は達成できそうにない。

    ドイツ商工会議所連合会(DIHT)の推定によると、今年は8万人の職業訓練生の職場が欠員のままになる見通しである。これは2011年よりも2万人多い。

    DIHTのアンケート調査結果では、2011年に「職業訓練生の職場に欠員がある」と回答した事業所は旧東独で38%、旧西独で18%、全体で21%だった。

    手工業も同様に、昨年よりも多くの職業訓練生を採用する意向であるが、1万人以上の職業訓練生の職場が欠員のままになると懸念されている。

    DIHTによると、職業教育市場の現状は雇用市場全体の今後の展開の前兆であるという。少子化が急速に進展しており、現在の職業訓練生不足は始まりにすぎない。2011年は約89万人の若者が普通校(中学、高校)を卒業したが、2015年には卒業生が4万3000人少なくなる。卒業生が2013年の917000人から2025年には725000人に減少すると予想されている。

    雇用市場・職業研究所の算定によると、何の対策も講じなければ、潜在的就業者数は2025年までに約650万人減少して3810万人になる見通しである。その結果、企業がドイツ国内への投資を控え、経済成長に大きなブレーキがかかることが懸念される。

    専門家は二重戦略を提言している。まずは、女性や中高年者のような国内の潜在的就業者領域を開拓して雇用市場に導く。同時に、外国からの専門職者の移入により少子化を補う。

    職業訓練市場においても既存のポテンシャルを活用し、移民系若者の職業訓練を強化しなければならないという。

    少子化だけでなく、大学進学者の増加も職業訓練市場の状況を厳しくしている。大学進学資格のない卒業生数が2025年までに18,6%(約102000人)も減少すると予想されている。

    そこで、すでに事業所の16%が職業訓練生採用条件を低くすることを検討している。また、57%の事業所が職業訓練生に補習授業(数学、ドイツ語)を提供している。4分の3の事業所は職業教育修了後に訓練生を正規採用する意向である。生徒の実習を引き受ける事業所も増えている。

    卒業資格を取得することなく中退する生徒の割合が6%強であることから、DIHTはこの領域でも対策を講じるよう政府に求めている。

2012年5月23日)

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