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メディエーション(調停)法、成立

   

    連邦議会が628日(木)、連邦参議院が6月29日(金)に両院協議会の妥協案を可決したことから、メディエーション及びその他の裁判外紛争解決手続の利用促進に関する法律、メディエーション(調停)法が成立した。同法によりEU指令が国内法に移行される。

    裁判外で第三者が介入して紛争当事者双方が話し合いにより自主的に紛争の解決を図るメディエーション(調停)が制度化される。

    メディエーション手続は非公開で、メディエーターという専門技法を有する第三者が当事者間の自主的な話し合いを援助し、対話を促進して、合意の成立を目指す。メディエーターは守秘を義務付けられ、証言拒否権を有する。

    同法は合意結果の拘束力については規定していない。拘束力は当事者双方の合意に基づく。当事者双方がメディエーション合意結果を執行力ありと宣言することもできる。

    また、これまで実施されてきた裁判所内のメディエーションは「拡大された和解裁判官モデル」に移行する。和解裁判官モデルは当事者の相互合意による紛争解決の追加オプションとして法的に規定される。

    和解裁判官(Güterichter)はメディエーターとは異なり、法的評価をすることができ、当事者に紛争解決案も提案できる。手続をどのように形成するかは和解裁判官の裁量に任され、紛争解決のためにメディエーションも含めたあらゆる方法を投入できる。当事者の同意なしに訴訟資料を閲覧でき、執行力のある和解の調書を作成できる。

    和解の話し合いに関する調書は、当事者双方が同意して申請した場合にのみ作成される。和解の話し合いは非公開である。和解裁判官には決定権限がなく、訴訟裁判官ではない。

    訴訟手続とは異なり、相互合意による裁判外紛争解決の利点は敗者がいないことである。裁判外紛争解決は当事者が相互合意して初めて成り立つ。

    メディエーション手続の主な特徴は、1)調停手続への参加が任意である、2)当事者が自主的に自己責任で決定する、3)メディエーターの中立性、独立性、4)メディエーターには決定権限がない、5)手続は非公開である、6)メディエーターには守秘義務と証言拒否権がある。

    メディエーターには様々な職種の人がなれる。例えば、弁護士、心理学者、教育者、社会学者など。メディエーターの養成、研修の質、「公認メディエーター」の資格についても法律で規定されている。

    ロイトホイザー・シュナレンベルガー連邦法務大臣によると、訴訟手続前及び 訴訟手続中における裁判外紛争解決手段の活用促進により、裁判所の負担が軽減されるという。

2012年7月19日)

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