ドイツのニュース
連邦議会、法定介護保険改革法案を可決
連邦議会は6月29日(金)、法定介護保険改革法案を可決した。(2012年5月23日のニュースを参照) 同法案によると、2013年から特に認知症患者への介護保険給付が改善される。新しい「要介護度0」が導入され、要介護度がなくても自立した日常生活が著しく制限されている人に適用される。 要介護度のない「要介護度0」の人は介護手当月額120ユーロあるいは225ユーロまでの介護サービスを受けることができる。認知症患者はこれまでの手当100ユーロ(重度の場合は200ユーロ)に加えて、「要介護度0」の介護手当120ユーロないし225ユーロまでの介護サービスを受給できる。 「要介護度1」の人は介護手当305ユーロか665ユーロまでの介護サービス、「要介護度2」の人は介護手当525ユーロか1250ユーロまでの介護サービスを受けることができる。認知症患者も要介護度に応じて介護手当ないし介護サービスを受給できる。 また、要介護者とその家族は介護職員と介護サービスの内容について柔軟に決定することができる。特に認知症患者の要望が考慮されるようになる。 在宅介護と施設介護の中間的介護形態として、共同生活グループが促進される。共同住居に住む各要介護者には月々200ユーロの追加手当が支給され、共同住居における費用を負担する。 介護保険金庫は申請後2週間以内に相談日を指定しなければならない。要介護度は4週間以内に決定しなければならない。期限以内に決定できなかった場合には、期限経過後1週間当たり70ユーロを支払わなければならない。 介護改革による給付増加分を賄うために、2013年1月1日に介護保険料率が(所得の)1,95%から2,05%(子供のいない人は2,25%)に0,1ポイント引き上げられる(対象となる所得の上限は月額3825ユーロ)。 また、法定介護保険を補う民間の追加介護保険を促進するために、2013年から国が民間の追加介護保険に月々5ユーロ補助金を支給する(但し、自己負担が月額最低10ユーロの場合)。 野党はこの介護保険改革法案に反対した。認知症患者への保険給付の改善が不十分であるとする一方で、民間の追加介護保険の促進に原則として反対している。 社会民主党(SPD)と緑の党は、次期総選挙で政権の座についた際には、この介護保険改革を撤回して、「市民介護保険」を導入する意向である。 疾病保険金庫、消費者団体、介護団体、使用者団体も介護保険改革法案を批判している。
現在、要介護者数は約240万人で、2040年には340万人に増加し、2050年にはほぼ倍増すると予想されている。認知症患者は現在の120万人から2050年には230万人に増加する見通しである。 (2012年7月19日) |