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連邦参議院、クオータ制導入法案を可決

   

    連邦参議院は921日(金)、社会民主党(SPD)が政権をもつハンブルク都市州とブランデンブルク州が提出したクオータ制導入法案を可決した。キリスト教民主同盟(CDU)がSPDと大連立を組むザールランド州とザクセン・アンハルト州、ベルリン都市州が前日に急遽、賛成に回ったために法案を可決することができた。

    クオータ制導入法案によると、ダックス上場企業の監査役会は監査役に占める女性の割合を2018年から最低20%に、2023年から最低40%にすることを義務付けられる。この比率を達成できない企業には税法上の優遇措置の取り消しや罰金などの制裁が科せられる。企業は定期的に監査役会における女性の比率を報告しなければならない。

    連邦参議院が同法案を可決したことから、連邦議会はこれを審議しなければならない。

    ザクセン・アンハルト州の州首相(CDU)は、「企業のこれまでの任意努力では改善できなかったので、政治の出番になった」と語った。

    野党は取締役会と監査役会におけるクオータ制の導入を求めてきたが、与党内では合意に至っていない。キリスト教社会同盟(CSU)と自由民主党(FDP)は導入に反対している。キリスト教民主同盟(CDU)内では意見が二分しており、フォン・デア・ライエン連邦労働大臣がクオータ制の導入を求めているのに対して、メルケル首相とシュレーダー連邦家庭大臣は企業の任意義務づけ(企業自らが女性の比率を決めるフレックス・クオータ制)を主張して、法律による義務付けに反対している。

    このような状況下、連邦参議院が可決したクオータ制導入法案が連邦議会で可決される可能性は極めて低いと見られている。

    一方、欧州委員会は10月にEUクオータ制導入案を提示する予定である。

    それによると、上場企業は2020年までに監査役会における女性の割合を40%にすることを義務付けられる。対象になるのは上場企業の監査役会で、取締役会には適用されない。違反する企業には罰金、補助金取り消し、公的入札からの除外などの制裁が科せられる。

    しかし、ドイツを含む10カ国が懸念を示しており、欧州委員会の計画が欧州理事会で拒否される可能性が高い。

2012年9月25日)

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