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市町村は代替保育所の保育料を負担しなければならない

   

    連邦行政裁判所は912日(木)、「市町村は、公営保育所に入所する権利のある幼児を収容できない場合、親が特定の要件を満たしている場合にはその代替の民間保育所の保育料を負担しなければならない」とするコブレンツ行政高等裁判所の判決に対するマインツ市の上告を却下した。

    2011年4月~10月に当時2歳の娘がマインツ市の公営保育所に入所できなかったために、代替の民間保育所に入所させた母親が全部で約2200ユーロの保育料を市が負担するよう求めていた。

    ラインランド・プファルツ州は3年前に発効した同州の保育施設法において、2歳から小学校に就学するまでの子供は保育施設ないし幼稚園で無料保育を受ける権利があると規定している。

    そこで、連邦行政裁判所は、市町村が幼児の権利を満たせない場合には代替の民間保育所の保育料を負担しなければならないと判断した。その際、権利のある幼児の親が自ら代替の保育所を見つける前に市町村に適時に保育所入所の必要を申し出ること、公営保育所の入所要件を満たしていることが肝要であるという。

    今年8月1日に発効した連邦児童育成支援法(Kinderförderungsgesetz)により、1歳児と2歳児に保育所に入所する権利が与えられたことから、この判決は今後全国的に大きな影響を及ぼすと見られている。

    連邦行政裁判所のスポークスマンは、「今回の判決は全国的な意味を持つが、いくつかの要件を満たすことが前提となる」と語った。

    同裁判所が指摘する社会法典によると、幼児が公営保育所に入所する権利があること、親が幼児を保育所に入所させる必要があることを適時に市町村に申し出て、代替を提示すること、ある特定の日から保育所に入所させる必要があることを証明することなどが条件となる。

    専門家によると、1歳児ないし2歳児の親は職場復帰する3~6ヶ月前に適時に適当な保育所を捜して申し込まなければならない。市町村が提供する保育所が気に入らないとか、遠すぎるという理由だけで拒否することはできないという。

    今年8月にはミュンスター行政高等裁判所が、市町村が公営保育所に幼児を入所させることができない場合は、市町村が代替として提供した保育ママを親は受け入れなければならない」という判決を下している。

    しかし、今回の判決から、市町村が代替の民間保育所の保育料を負担しなければならないことは明らかになったと専門家は指摘する。

    ドイツ市町村連盟のスポークスマンは、連邦行政裁判所が特定の要件が満たされなければならないことを明示した点を歓迎している。

2013年10月23日)

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