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65歳以上の就業者が増えている

   

    ドイツ経済研究所(DIW)の調査結果によると、ドイツでは65歳以上で就業している人が過去10年間でほぼ倍増した。

    2011年は65歳以上の年齢層の約76万人が就業していた。2001年は40万人弱。この年齢層における就業率は2,8%から4,6%に上昇した。この増加幅はEU平均の約10倍である。ドイツよりも増加した国はフィンランド、オーストリア、スロヴァキア。

    65歳以上でも仕事をする主な理由は多くの場合、経済的困窮ではない。約3人に2人の所得は働かなくても貧困危険率(平均的可処分所得の60%)を上回っている。2011年の時給は就業者平均時給よりも5ユーロ多い21,41ユーロだった。

    追加収入がなければ貧困危険率を下回る年金生活者も10年前よりも多いが、貧困危険率を下回る年金生活者の割合は上昇していない。65歳以上でも就業する人の増加は主に、仕事に生きがいがあり、仕事を辞めたくない人が増えたことに起因している。

    65歳以上の就業者に占める自営業者とその手伝いをする家族の割合は約40%で、就業者全体における割合(11%)のほぼ4倍である。彼らの3分の1は従業員を雇用している。

    最も大きな増加は大卒者に見られる。自営業者では商人、医者、企業コンサルタントが圧倒的に多く、農業従事者も多い。被雇用者では建物清掃者、事務職、運転手が多い。職業教育修了資格のない人では、退職後も働く人は僅かしか増えていない。

    65歳以上で就業している人の3分の2はパートタイム勤務をしている。フルタイム勤務者も過去10年間で倍増した。但し、55000人と低水準である。

    65歳以上でも任意で就業している人が多いことから、働いていない年金生活者よりもその人生一般と所得に関して満足度も高い。特に健康に関する評価で大きな差がみられた。

    専門家は、65歳以上でも就業する人が増える傾向は今後も継続すると見ている。高齢者向け雇用市場が開かれていること、高資格を有する人の割合が高い世代が定年退職の年齢に達することなどがその背景にある。

    2011年はドイツにおけるこの年齢層の就業率は4,6%で、欧州平均を下回っていた。アイスランドは34%、ノルウェーは18,7%、ポルトガルは15%、スイスは10%だった。それに対して、フランス、ベルギー、スペインは2%に過ぎなかった。

2013年2月26日)

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