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「注意欠陥・多動性障害」診断件数が急増

   

    ドイツ最大手のバーマー疾病保険金庫の調査によると、ドイツでは2011年に全部で75万人、そのうち児童及び少年62万人が「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」と診断された。2006年と比較すると42%も増加している。

    ドイツのADHD診断件数は世界最多の国に属し、米国並みになっている。それに対して、スウェーデンではADHD診断件数が著しく少ない。

    調査によると、ADHD患者の約4分の3は男子である。特に、進学コースが分かれる直前の基礎学校4年生である10歳児に最も多い。2011年は10歳児男子の8人に1人がADHDと診断された。それに対して女子では4,4%に過ぎない。

    2000年に生まれた男の子の20%が2006年~2011年にADHDと診断されている。女の子では7,8%。

    診断件数の増加に伴い、メチルフェニデート(商品名リタリン)を使用するADHD治療も増加した。この薬を飲んだ19歳未満の児童・少年は全部で35%増加している。しかし、「この薬は病気の症状だけを緩和し、病気そのものは治さない」といわれ、評価が定まっていない。

    バーマー疾病保険金庫は医師によるADHD診断と処方の急増を批判的に見ており、大きな地域格差を指摘している。メクレンブルク・フォアポメルン州では10歳~12歳の子供にADHD診断がほとんどなされていないのに対して、ヴュルツブルク市ではドイツ平均の2倍以上であった。

    同市では、特に児童・少年心理学専門者がADHD診断をしている。また、ヴュルツブルク大学ではADHD専門医の養成が行われており、専門医ないし専門者と病気の関係が見られるという。

    調査によると、若い親の子供にADHDが多い。また、大卒の親の家庭にはADHDの子供が少なく、リタリンの処方もまれである。それに対して、社会的弱者階層の子供の多くがリタリンで治療されている。

    調査をした専門家は、リタリンを使用する治療が長年、社会的に批判されてきたにもかかわらず、ADHD診断件数とリタリン治療件数が著しく増加している現状に驚いている。

2013年2月26日)

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